ファクタリング

ファクタリングの違法性を見抜くには?【弁護士が徹底解説】

更新日:

  • 本記事の監修弁護士
弁護士 田島 聡泰 シン・イストワール法律事務所

監修者

弁護士 田島 聡泰

シン・イストワール法律事務所代表弁護士。東京弁護士会所属。
注力分野:債務整理(自己破産・過払い金・闇金・ファクタリング)・養育費回収など

「ファクタリング」って打ち込むと「悪質」「違法」「やめとけ」って候補で出てくるけど、怖いものなの?
危ないファクタリング業者かどうかを見抜く方法はあるのかな?

今回は、このような疑問を解決していきます。

ファクタリングの仕組み自体は合法です。ただし、正規の業者と違法業者が混在しており、種類も多いので、利用する際はきちんと業者の違法性を見抜く必要があります。

「利用したファクタリング業者が実は闇金だった!」と後から気づくケースも珍しくありません。

本記事では、ファクタリングの仕組み、違法性、悪徳ファクタリングの見極め方、対処方法をご紹介します。

被害にあわないように、一緒に理解を深めていきましょう。

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ファクタリングとは?

そもそも「ファクタリング」とは一体何なのでしょうか?
ここでは、仕組みや特徴について詳しく説明していきます。

資金調達の仕組み

ファクタリングとは、「専門の業者に売掛債権を買い取ってもらうことで、売掛金が入金される前に債権を現金化する方法」のことを指します。

つまりファクタリングを利用する企業にとっては、売掛金に相当するお金を予定より早く手に入れられるというメリットがあります。

ファクタリングの仕組み自体は合法で、昔からある資金調達方法です。
一言に「ファクタリング」と表しても、法人向け、個人向けの2種類があります。

そもそもファクタリングとは?

 

法人向けのファクタリング

法人向けのファクタリングの仕組み自体は合法で、経済産業省も推奨しています。

2020年4月1日より、譲渡制限特約に関する部分を含め、債権法(民法の契約等に関する部分)が変わります。
譲渡制限特約が付されていても、債権譲渡は原則有効となります。
この改正により、企業の皆様にとっては、債権を活用した資金調達が行いやすくなるというメリットがあります。

引用:経済産業省「債権法改正により資金調達が円滑になります」

通常、会社が取引先に対して商品やサービスを提供しても、その対価である代金がその場ですぐに支払われることは稀で、代金の代わりに「債権」を受け取ります。

債権とは、ある者(債権者)が他の者(債務者)に対して一定の行為 (給付)を請求しうることを内容とする権利をいう。 参考:コトバンク「債権」

しかし「どうしても今すぐ資金が必要」という場合に限って、会社はその代金請求権をファクタリング業者に売り払うことで、ファクタリング業者に代金を支払ってもらい、手早く現金を調達できるのです。

一般的にファクタリングで審査されるのは売掛債権の信用性で、企業の経営状況は審査に関係ありません
そのため他の資金調達方法よりも利用する企業が非常に多いのが特徴です。

法人向けファクタリングには2社間で行われる取引、3社間で行われる取引の2種類があります。
それぞれの特徴を表にまとめました。

2社(者)間3社(者)間
関わる人会社、ファクタリング業者会社(債権者)、ファクタリング業者、取引先(債務者)
メリット現金化までがスピーディー
ファクタリングを利用したことが、取引先にバレない
手数料が低い
デメリット手数料が高いファクタリングを利用したことが、取引先に通知される
違法性仕組み自体は合法
ただし、法外な手数料・利息が請求されることも
仕組み自体は合法
ただし、法外な手数料・利息が請求されることも
申し込みから現金化まですぐ時間がかかることも

ファクタリング業者にとって、2社間ファクタリングでは債権が回収できるか不明確というリスクがあるので、その分手数料が高くなるという特徴があります。

2社間(2者間)と別々に表記されますが、内容は同じです。2社間は法人向けのファクタリングで、2者間は個人向けのファクタリングでの書き方になります。

>> ファクタリング被害について弁護士に無料相談する

個人向けのファクタリング

ここまで、会社同士の債権で取引する法人向けのファクタリングを紹介しましたが、給与ファクタリングと呼ばれる個人向けファクタリングも存在します。

基本的な仕組みは法人向けファクタリングと同じですが、債権の代わりに給与で取引を行うという違いがあるのです。

具体的には、会社員が給料を受け取る権利を業者に買い取ってもらうことで、給料日よりも前に現金を手に入れるという仕組みで成立しています。

一般的にファクタリングという言葉は、会社(法人)における資金調達を指しますが、給料ファクタリングにおいて、利用者は会社員個人です。

法人向けファクタリングと給与ファクタリングの違いをまとめると以下のようになります。

ファクタリング給料ファクタリング
利用者会社(法人)サラリーマン(個人)
相手先取引先勤務先(職場)
業者が買い取るもの売掛債権(会社の売掛金)勤務先から受け取る給料

給与ファクタリングの3者間のやり取りは下の図の通りです。
3者間の取引では「債権譲渡契約」を結んで取引が成立すると覚えておきましょう。

3社間取引による給料ファクタリング

【給料ファクタリングは闇金!?】特徴やメリット・デメリットを徹底解説!
参考給料ファクタリングって違法?【メリットやデメリットを徹底解説】

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違法なファクタリング業者も潜んでいる

「ファクタリング」と検索したとき「危ない」「やめとけ」などと表示されて疑問に思った方もいらっしゃると思います。

実は、ファクタリング業者の中には違法業者もいるということをご存知でしょうか。

正規のファクタリング業者と違法なファクタリング業者が混ざっているのは、非常に恐ろしいですよね。

金融庁も注意喚起している

悪徳な違法ファクタリング業者については、金融庁や国民生活センターも注意喚起をするほど、全国的に警戒が強まっており、注意が必要です。

中小企業の経営者を狙い、売掛債権等を譲渡して資金を調達する「ファクタリング」を装って、貸金業登録のない業者が、債権を担保とした違法な貸付けを行っている事案が確認されています。

引用:金融庁「違法な金融業者にご注意!」

「給与の債権を売れば金銭を受け取れる」などと宣伝する「給与ファクタリング(給料ファクタリング)」に関する相談が全国の消費生活センター等に寄せられています。
貸金業法の登録を受けずに給与ファクタリングを業として行う者はヤミ金融業者ですので、利用しないよう消費者に注意を呼び掛けます。

引用:独立行政法人国民生活センター「給与のファクタリング取引と称するヤミ金に注意」-2020年6月

実は、違法ファクタリングは闇金が組織的に運営しているケースが多いのです。
利息や手数料の支払いができない場合、闇金で借金を作らされます。

結果的に多重債務状態となり、加えて闇金から取り立てや嫌がらせを受けるという負のループに陥る事例も少なくありません。

弁護士に相談すべき悪質ファクタリングの6つの特徴とその対処法
参考ファクタリング業者は闇金?【リスクや対処法を徹底解説】

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実際に摘発されたケース

まずは、法人向けファクタリング業者が摘発されたケースをご紹介します。

法人向けファクタリングの摘発ケース

2022年2月、警視庁は貸金業法違反と出資法違反の疑いで一般社団法人「ハートフルライフ協会」の幹部の男ら6人を逮捕した。

逮捕容疑は、ファクタリング業者を装っていたが、営業実態からヤミ金業者であった疑い。

ファクタリングとは、企業が未払い料金を取引先から受け取る金利(売掛債権)を安く買い取る業者のこと。

容疑者らは、貸金業の登録がないまま、香川県や宮城県の中小企業の経営者ら5人に約1億3千万円を貸し付け法定金利の最大34倍にあたる利息3千万円を受け取ったとみられる。

出典:朝日新聞デジタル「中小企業狙い「ヤミ金」容疑 ファクタリング業者を逮捕」

法人向けファクタリングでは、コロナ禍で資金繰りに困った中小企業が狙われるというケースが急増しています。

給与ファクタリングの摘発ケース

2021年1月、警視庁は「給与ファクタリング」を営み、法外な利息を得たとして給与ファクタリング業者の男女7人を逮捕した。

逮捕容疑は、貸金業法違反と出資法違反の疑い

生活経済課によると、7人は都内の男女12人に現金74万4607円を貸し付け、法定利息のおよそ14~31倍の利息計18万7533円を受け取ったとみられる。

容疑者らは、ホームページで「即日融資に代わる給与ファクタリング」「あなたの強い味方」と勧誘を行っていた。

参考:朝日新聞デジタル「給料ファクタリング、全国2例目の摘発 容疑の7人逮捕」

違法ファクタリング業者の摘発は全国的に進んでおり、ご紹介した摘発事例はほんの一部です。
手口も巧妙化していると覚えておきましょう。

給料ファクタリングの実態とは?【実際にあった被害相談を4つご紹介】
参考給料ファクタリングの実態とは?【実際にあった被害相談を4つご紹介】

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違法ファクタリングを見抜くポイント7つ

違法ファクタリングかどうか見極める際には、以下の7項目をチェックしましょう。

1つでも当てはまったら、違法なファクタリング業者であると疑ってもいいもしれません。

違法ファクタリングを見抜くポイント7つ

  1. 契約書がない・破棄される
  2. 手数料が異常に高い
  3. 契約時の説明が適当である
  4. 債権譲渡通知に捺印するよう求めてくる
  5. 貸金業者登録番号を教えてくれない・デタラメ
  6. 審査が適当すぎる
  7. 融資の条件に担保や保証金を求めてくる

それでは、1つずつ解説していきます。

1. 契約書がない・破棄される

違法なファクタリング業者の多くは、自分たちが違法な営業、貸し付けを行っていると自覚しています。

そのため、契約書など形に残るものを嫌う、もしくは形式上書いてもすぐに破棄するなどの特徴があるのです。

「契約書を用意したがらない」「書いてもすぐに捨てるように言われた」という場合は、違法業者の疑いが強いですね。

2. 手数料が異常に高い

違法なファクタリング業者は「仲介手数料」「紹介料」などと称して、なにかと請求をしてくるでしょう。

これらの「手数料」を利息として計算すると、利息制限法が定める上限金利を大幅に上回っているケースがよくあります。

しかし、ファクタリング業者は「手数料だから利息に当たらず、利息制限法違反ではない」と言い張ることも。

違法なファクタリング業者と直接交渉することは、精神的にも交渉能力の面でも負担が非常に大きいので、弁護士などの専門家に相談しましょう。
参考ファクタリングの契約書の注意点を細かく解説

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3. 契約時の説明が適当である

違法ファクタリング業者は、クレーゾーンもしくは違法な営業をしていると分かっているので、わざわざ違法な契約を利用者にきちんと説明しません。

明確な説明をして、あとから「話が違う」「契約が間違っている」と利用者が言い出すのを防ぐためです。

利用者が契約内容の確認、契約内容の説明を求めても、まともに応じずに話をあやふやにしてくるでしょう。

もし、契約時に怪しい雰囲気を感じたら、違法業者かもしれないと慎重に考えることをおすすめします。

4. 債権譲渡通知に捺印するように求めてくる

相手の業者から、債権譲渡通知のサインを要求されていませんか?

債権譲渡通知とは、債権の内容はそのままに債権者が第三者に移ったことを債務者に知らせる書類のことです。通常、元々の債権者から債務者へ送られます。債権が移ったことで債務者が不利益を受けることを防止するために必要な手続きです。

もし債権譲渡通知のサインを要求されたなら、相手が悪質なファクタリング業者であると考えて問題ないでしょう。

そもそも、あなたが売掛金を買い取ってもらう場合、債権譲渡通知は債権者であるあなたが用意しなければなりません

相手の業者から債権譲渡通知が届くこと自体がおかしいのです。

どんな書類であっても安易にサインをするのは、絶対にやめましょう。

5. 貸金業者登録番号を教えてくれない・デタラメ

電話番号を聞いても教えてくれない、教えられた電話番号がデタラメだった場合は、違法な貸金業者または闇金である可能性が非常に高いです。

通常、ファクタリング業を営む際は、貸金業者としての届け出を行う必要があります。
届け出の際、事務所の住所や電話番号、出資金、代表者などの提示を求められるのです。

しかし、違法なファクタリング業者は貸金業者としての登録をしていないので、電話番号を持ちません。

電話番号がない、デタラメの場合は、貸金業者としての登録をしてない違法業者と言えます。

>> ファクタリング被害について弁護士に無料相談する

6. 審査が適当すぎる

ファクタリング業者は利息や手数料で儲けることを目的に集客をしているので、より多くの利用者を集めることに尽力しており、最初から債権の価値など気にしていません

そのため「審査不要、即日融資」「すぐに貸せます」などと、甘い言葉で勧誘し、利用者を増やすという手法をとっています。

簡単な審査で融資を受けられることは魅力的に見えるかもしれません。
しかし「甘い言葉には裏がある」と考えて、用心しましょう。

7. 融資の条件に担保や保証金を求めてくる

ファクタリング業者には「手数料や利息など何かにつけてお金を請求する」という特徴があります。

融資の条件に、担保や着手金、保証金の支払いを求められるかもしれません。
場合によっては「支払わないと債権を現金化しない」と脅されることも。

「保証金などを支払えす、親組織である闇金で借金をして多重債務状態に陥ってしまった」というケースもあるほど、ファクタリング業者の請求はしつこいのです。

融資の条件になにかとお金を請求されると感じたら、違法なファクタリング業者疑いましょう。

参考ファクタリングの手数料の相場を詳しく解説【悪質ファクタリングの可能性】

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違法ファクタリング被害にあったら弁護士に相談

弁護士に相談したほうがいい理由

警察や消費生活センター、各自治体の相談窓口でも闇金トラブルを相談することは可能です。

しかし警察は闇金から脅迫や暴力など、具体的な実害を受けたという証拠がないと動いてくれません

弁護士であれば、闇金であるファクタリング業者の違法性を正確に指摘し、しつこい取り立てや嫌がらせを確実にストップさせることが可能です

ただし、弁護士であれば誰でもよいというわけではありません。
ファクタリング業者が闇金であったというケースに備えて、闇金問題に強い弁護士を選びましょう。
警察が対応してくれるとは限らない

>> ファクタリング被害について弁護士に無料相談する

まとめ:ファクタリングの違法性を見抜くには?【弁護士が徹底解説】

  • ファクタリングとは、債権を現金化する資金調達の仕組み
  • 仕組み自体は合法だが、違法なファクタリング業者が潜んでいる
  • 違法ファクタリングは闇金が運営しているケースが多い
  • 法人向けのファクタリング、個人向けのファクタリング(給与ファクタリング)の2種類がある
  • 金融庁や国民生活センターも注意喚起するほど危険
  • 違法なファクタリング業者を見極める時は「契約書の有無」「手数料は高額か」「債権譲渡通知のサインを求められるか」などをチェックすると良い
  • ファクタリング被害にあったら、弁護士に相談するのが解決への近道

本記事では、ファクタリングの特徴、仕組み、違法ファクタリング業見抜く方法をご紹介してきました。

違法なファクタリング、闇金トラブルで困ったら弁護士に相談しましょう。
証拠が無いため警察に対応してもらえなくても、弁護士なら悪徳業者や闇金の違法性を正確に指摘し、解決することが可能です。

相談には相当お金が掛かるだろう、きちんと相談に応じてくれるのかという不安をお持ちかもしれません。
もちろん、弁護士依頼には費用は掛かりますがファクタリング業者に手数料や利息を支払うよりもずっと安い金額で済みます

弁護士に相談することで、金銭的な負担だけでなく、精神的な疲労を抱えずに解決することができます。

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