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出資法ってどんな法律なの?【弁護士が分かりやすく解説します】

更新日:

  • 本記事の監修弁護士
弁護士 田島 聡泰 シン・イストワール法律事務所

監修者

弁護士 田島 聡泰

シン・イストワール法律事務所代表弁護士。東京弁護士会所属。
注力分野:債務整理(自己破産・過払い金・闇金・ファクタリング)・養育費回収など

出資法とは?分かりやすく説明してほしい!
出資法に違反している闇金を利用すると、どうなるの?

今回は、このような疑問を解決していきます!

闇金をはじめとする借金問題には「出資法」という法律が密接に関係しています。
出資法は、闇金などの悪徳貸金業者を規制する重要な法律です。

本記事では、出資法の概要や利息制限法との関係、出資法違反の闇金から借り入れた時の対処法について、シン・イストワール法律事務所の弁護士が徹底解説していきます。

出資法を違反した闇金から借金すると、必要以上にお金を請求されたり、嫌がらせを受けるといったデメリットがあります。

手遅れになる前に、まずは弁護士へご相談ください。

闇金トラブルは借金問題に強い弁護士に相談すると、最短即日で取り立てや嫌がらせをストップできます。
現在進行形でお悩みの方は、弁護士に相談しましょう。

今回のテーマ

  1. 出資法の概要
  2. 出資法と利息制限法の相違点
  3. 闇金は出資法違反に当たるので注意【実際に摘発された事例】
  4. 出資法違反の闇金から借り入れた時の対処法
  5. まとめ:出資法ってどんな法律なの?【弁護士が分かりやすく解説します】

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出資法の概要

「出資法」とは分かりやすく申し上げますと、利息が伴う出資や預かり金のやりとりについて、ルールを定めた法律です。法律では、5つの要点にまとめられています。

正式名称を「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」と言い、昭和29年6月23日に制定された日本の法律です。

具体的には貸金業者とそのほかの業者に対して利息を制限しています

要点は主に以下の5つにまとめられます。
1つずつ順番に見ていきましょう。

出資法の概要

  1. 出資金の受入の制限
  2. 預り金の禁止
  3. 浮貸し等の禁止
  4. 金銭貸借等の媒介手数料の制限
  5. 高金利の処罰

出資法第1条:出資金の受入の制限

(出資金の受入の制限)
第一条 何人も、不特定且つ多数の者に対し、後日出資の払いもどしとして出資金の全額若しくはこれをこえる金額に相当する金銭を支払うべき旨を明示し、又は暗黙のうちに示して、出資金の受入をしてはならない。

引用元:出資法-e-Gov

第1条では多額の配当を保証して不特定多数から出資を募る行為の禁止を定めています。

具体的には「出資金を倍にして返す」などと騙して融資を募る行為や「必ず儲かる」「元本は保証する」などという嘘の誘い文句で勧誘する行為が禁止されるのです。

分かりやすく言うと「『将来何倍にもして返すから!』と誇大表現をしたり、嘘をついて、不特定多数の人からお金を集める行為は禁止」という意味です。

出資法第2条:預り金の禁止

(預り金の禁止)
第二条 業として預り金をするにつき他の法律に特別の規定のある者を除く外、何人も業として預り金をしてはならない。
2 前項の「預り金」とは、不特定かつ多数の者からの金銭の受入れであつて、次に掲げるものをいう。
一 預金、貯金又は定期積金の受入れ
二 社債、借入金その他いかなる名義をもつてするかを問わず、前号に掲げるものと同様の経済的性質を有するもの

引用元:出資法-e-Gov

第2条では資格を保有している特定金融機関以外の業者が、預り金の業務を営む行為の禁止が定められています。

つまり「預かり金業務をして良い」と許可を得ていないものが貸金業を営むことはできないのです。

分かりやすく言うと、許可がない人は他人のお金を預かったり、預かったお金を用いて取引はできないという意味です。

参考押し貸しは闇金が原因?対処法はあるの?【弁護士が徹底解説】

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出資法第3条:浮貸し等の禁止

(浮貸し等の禁止)
第三条 金融機関(銀行、信託会社、保険会社、信用金庫、信用金庫連合会、労働金庫、労働金庫連合会、農林中央金庫、株式会社商工組合中央金庫、株式会社日本政策投資銀行並びに信用協同組合及び農業協同組合、水産業協同組合その他の貯金の受入れを行う組合をいう。)の役員、職員その他の従業者は、その地位を利用し、自己又は当該金融機関以外の第三者の利益を図るため、金銭の貸付け、金銭の貸借の媒介又は債務の保証をしてはならない。

引用元:出資法-e-Gov

第3条ではあらかじめ規定されている正規の審査を経過せずに行う融資(浮貸し)の禁止が定められています。

浮貸しとは、金融機関が正規の業務としてではなく、金融機関としての地位や立場を利用して、金銭の貸付などを行うことです。

分かりやすく言うと「資産差を通過していない人が他の人に融資してはいけない」という意味です。

金融機関が地位を悪用することを防ぐために、出資法で定められています。

出資法第4条:金銭貸借等の媒介手数料の制限

(金銭貸借等の媒介手数料の制限)
第四条 金銭の貸借の媒介を行う者は、その媒介に係る貸借の金額の百分の五に相当する金額(当該貸借の期間が一年未満であるものについては、当該貸借の金額に、その期間の日数に応じ、年五パーセントの割合を乗じて計算した金額)を超える手数料の契約をし、又はこれを超える手数料を受領してはならない。

引用元:出資法-e-Gov

第4条では貸金業者の媒介(紹介)を行う際に5%以上の手数料を受け取る行為の禁止が定められています。

分かりやすく言うと「ほかの人に貸金業者を紹介する際、5%以上の手数料を受け取ってはいけない」という意味です。

具体的には、連帯保証人あっせん業者、紹介屋などの脱法行為を防ぐための規定と言われています。

参考紹介屋詐欺とは?手口や危険性を徹底解説

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出資法第5条:高金利の処罰

(高金利の処罰)
第五条 金銭の貸付けを行う者が、年百九・五パーセント(二月二十九日を含む一年については年百九・八パーセントとし、一日当たりについては〇・三パーセントとする。)を超える割合による利息(債務の不履行について予定される賠償額を含む。以下同じ。)の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。

2 前項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年二十パーセントを超える割合による利息の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。その貸付けに関し、当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。

引用元:出資法-e-Gov

第5条では貸金業者が年利20%超、貸金業者以外は年利109.5%(うるう年は109.8%)超の金利での融資を禁止を定めています。

一般的に「超高利貸金業者」とは、年109.5%または日0.3%を超える貸金業者のことを指すのです。

分かりやすく言うと「他の人にお金を貸すとき、年利20%以上または109.8%以上の金利を受け取ってはいけない」という意味です。

闇金を始めとした違法業者のほとんどはこの第5条(高金利の処罰)を違反しています。

出資法の上限金利は年々下がっている

出資法は歴史が長く、スタートしたのは1954年(昭和29年)のことです。

はじめは上限金利が年利109.5%と非常に高かったのですが、それ以降は以下のように段階的に引き下げが行われています。

  • 1983年からは、年利73%
  • 1986年からは、年利54.75%
  • 1991年からは、年利40.004%
  • 2000年からは、年利29.2%
  • 2010年からは、年利20%

参考:金融庁「今回の貸金業法改正について」

引き下げの背景には、多重債務者の増加貸金業者による厳しい取り立てが問題視されたことがあります。

なお、貸金業者以外の者に関しては、年利109.5%、うるう年は年利109.8%が上限金利で、依然として高いままです。

年利の詳細についてはこちらの記事をご覧ください。

年利ってなに?実質年利との違いは?【分かりやすく解説します】

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出資法と利息制限法の相違点

上限金利を定めている法律は、ひとつではありません。

例えば出資法と似たジャンルの法律として利息制限法が挙げられます。

出資法と利息制限法の共通点

出資法と利息制限法の共通点は、どちらも上限金利を定めていることです。

出資法の上限金利は20%、利息制限法の上限金利は貸付け額に応じて15%~20%と定められています。

2つの上限金利を加味して、一般的に上限金利は以下のように規定されています。

  • 元本の金額が10万円未満のときの上限金利 → 年20%
  • 元本の金額が10万円以上から100万円未満のとき上限金利 → 年18%
  • 元本の金額が100万円以上のときの上限金利 → 年15%

引用:日本貸金業協会「お借入れの上限金利は、年15%~20%です」

実は出資法が改正されるまで、出資法の上限金利は29.2%と定められており、利息制限法との差9.2~14.2%は「グレーゾーン金利」と呼ばれていました。

クレーゾーン金利を利用して悪徳に儲ける闇金が横行した背景から、出資法は改正され、グレーゾーン金利が撤廃されたのです。

利息制限法とは?【金銭トラブルに強い弁護士による徹底解説】
参考利息制限法ってどんな法律なの?【弁護士が詳しく解説します】

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出資法と利息制限法の違い

出資法と利息制限法の違いは、個人間取引の場合の上限金利が異なる点です。

個人間取引の場合、出資法では上限金利が109.5%、利息制限法では貸し付け額に応じて15~20%と定められています。

上限金利に差がありますが、個人間融資の場合は利息制限法が定める上限金利を超えるケースで、取引は無効とみなされるのです。

利息制限法の詳細についてはこちらの記事をご覧ください。

利息制限法とは?【金銭トラブルに強い弁護士による徹底解説】
利息制限法ってどんな法律なの?【弁護士が詳しく解説します】

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闇金は出資法違反に当たるので注意!【実際に摘発された事例】

では高金利で貸し付けをしている闇金業者は出資法違反なのでしょうか?

闇金の利息は出資法違反

闇金の用語として有名なのがトイチという言葉で、これは10日で10%の利息が発生することを意味しています。

ほかにも10日で30%の利息が生じるトサン、10日で50%の利息が発生するトゴという言葉もあるのです。

実際にトサンで返済することになった場合、元本が1万円であれば1日で300円の利息がかかることになります。

これを年利に置き換えて計算すると利率1,095%となり、これは出資法の上限金利の約55倍の数値です。

よって「トイチ」「トサン」「トゴ」といった利息を設定している闇金業者は出資法違反と見て間違いないでしょう。

出資法違反には罰則がある

実は利息制限法に関しては、上限金利を超えたとしても特にペナルティを受けることはありません。

しかし出資法では、それをカバーするかのように刑罰が用意されているのです。

貸金業者は上限金利を上回る金利で貸し付けを行った場合5年以下の懲役1,000万円以下の罰金、またはこの両方が科せられます。

これに対し、個人融資の場合は10年以下の懲役3,000万円以下の罰金、またはこの両方が科せられることになるのです。

こうした罰則があるにもかかわらず、闇金は出資法の上限金利を超えて融資する方法をとっています。

年利109.5%を超える契約は無効

出資法では登録業者かそうでないかに関係なく、年間で109.5%を超過する利息で融資する契約は無効とされています。

つまり違法な条件で借り入れたお金に返済義務は生じないのです。

これは民法708条で定められている不法原因給付に基づく法的な決まりです

よって先ほどのトイチやトサン、トゴにおいても、出資法上では闇金との契約は無効、利息を返済する必要もないのです。

もしも既に超過額を払ってしまった方は、元本の返済に割り当てることもできます。

参考【知らなきゃマズい】闇金との取引をキャンセルする6つの方法をご紹介

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実際にあった出資法違反の摘発事例

闇金は、トイチ、トサン、トゴとよばれる違法な金利で営業しています。

トゴを年利換算すると年間の利率は1,825%となり、非常に恐ろしい金利なのです。

出資法の上限金利と比較すると、90倍以上の利息が重くのしかかってくることになります。

非現実的な金利に思えますが、出資法の上限金利を100倍以上上回る業者は存在するのです。

大阪府と兵庫県の男性7人が、東京や大阪などの業者5社に計約336万円の損害賠償を求める訴訟を大阪簡裁などに起こした。

古物商などと登記されている業者から、年利換算で360%超の返済を迫られたとし、「実態はヤミ金業者だ」と主張している。

訴状によると、原告の男性らは2020年8月~今年9月、ネット上で業者を見つけて利用。

ラインなどを通じて物品の写真を送ると、業者側から「買い取り代金」が示され、同額が振り込まれた。

業者側から直近の給料明細などの提示を求められ、現金を受け取った翌月の給料日に、年利換算で360~3370%の返済を求められたという。

参考:朝日新聞デジタル「『現金先払い』業者を提訴 利用者ら『実態はヤミ金』と賠償を請求」

出資名目で現金をだまし取ろうと考え、元本を確実に返済するなどと嘘を言って、現金2100万円を騙し取ったとして、福岡県の39歳の男が再逮捕された。

警察によると武田容疑者は、福岡県内に住む70歳前後の女性と男性2人から出資名目で現金をだまし取ろうと考え、面接やショートメッセージで「株取引で利益を得ており元本を確実に返済する」などと嘘を言った疑い。

武田容疑者が投資話で勧誘したのは全国に240人ほど被害額はおよそ40億円にのぼるとみられ、警察は引き続き余罪など調べている。

引用:Yahoo!ニュース「出資金名目で2100万円詐取容疑 39歳男を再逮捕 被害は全国で40億円か 広島県警」

一言で「出資法違反」と言っても、手口はさまざまです。
利息だけでなく、勧誘文句や業者の正体にも注目して正確に判断しましょう。
参考ファクタリング被害を弁護士に相談するメリットや注意点をご紹介

続きを見る

出資法違反の闇金から借り入れた時の対処法

6. 出資法上契約が無効であることを実現するには

ひとりで法を振りかざして闇金との関係を断とうとしても、現実には何も進展しないことが多いです。

それどころか、前にも増して取り立てや嫌がらせが激しくなってしまうことにもなりかねません。

警察に相談するのも悪くはありませんが、警察は借金問題を始めとした民事事件には介入できないため大きな効果は期待できないでしょう。

では出資法違反の闇金から借り入れた時はどのような対処法を取れば良いのでしょうか?

出資法違反であることを闇金に伝えても意味がない

契約が無効であることや、利息の返済もする必要がないと知って、少し肩の荷がおりたと感じる方もいるでしょう。

あとはいかにして問題を解決するかですが、出資法上無効なことを闇金に必死に伝えたところで、相手にしてくれない場合がほとんどです。

借りたものは返すのが筋、違法行為に加担しているなどとして、返済することを続けさせてくるでしょう。

場合によっては相手を逆上させて取り立てや嫌がらせが激しくなる可能性すら考えられます。

法律の専門家である弁護士に相談しよう

それでは八方塞がりではないかと思うかもしれませんが、弁護士に依頼して解決を目指す道が残されています

弁護士は法律の専門家であるため、闇金の出資法違反を的確に指摘することができます。

しつこい取り立てや嫌がらせを止めてくれるだけでなく、法外な利息での返済を続ける必要もなくなるでしょう。

【注意】闇金のお悩みを相談したい方は闇金のトラブル、相談するならまずは弁護士!その理由を徹底的に解説しますをご確認ください。

罰則を受けることを恐れて、弁護士が介入しただけでも手を引くケースもあるほどです。

闇金に関する問題の解決を得意とする弁護士の力を借りて、借金地獄から抜け出しましょう。

参考闇金が嫌がること7選と撃退方法【弁護士が徹底解説】

続きを見る

弁護士に相談したら闇金に仕返しされないの?

「闇金問題を弁護士に相談したら仕返しされそうで怖い」

といったことを考えている方もいらっしゃることでしょう。

こちらに関しても心配ご無用です。

というのも貸金業法第21条(取立て行為の規制)で弁護士や司法書士が介入した後に、貸金業者が債務者と関わることは法律で禁じられています

よって弁護士や司法書士といった法律の専門家を前に、大胆に違法行為をする闇金はまずいないと考えて良いでしょう。

闇金トラブルで最強の弁護士を選ぶために必ず見るべき3つのポイント
参考【闇金からの仕返しが怖い…】弁護士に相談したら報復されるって本当?

続きを見る

まとめ:出資法ってどんな法律なの?【弁護士が分かりやすく解説します】

  • 出資法では貸金業者と貸金業者以外の人のそれぞれに対して利息を制限している
  • 出資法以外にも利息制限法でも上限金利が定められている
  • 闇金の利息は上限金利を大きく上回るので出資法違反の貸金業者
  • 個人で闇金に対応するのは非常に危険。逆上させて取り立てや嫌がらせが激しくなることも
  • 出資法違反の闇金トラブルで困ったら弁護士に依頼することでスムーズに解決できる

今回は出資法の内容を分かりやすく解説しました。

いくら闇金の定める金利が出資法違反であることが分かっていても、個人で解決しようとすることはとても危険です

だからこそ弁護士に相談することでスムーズな解決を目指しましょう。

もしも闇金を利用してしまった時は弁護士に相談することでスムーズに問題を解決することができます

相談には相当お金が掛かるのではないのか、またきちんと相談に乗ってくれるのだろうかと気になっている人もいるかもしれません。

弁護士依頼にはもちろん費用は掛かりますが闇金に返済を続けるよりもずっと安い金額で済みます

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