今回はこのような疑問を解決していきます。
養育費とは、離婚した夫婦間において、別居した親(非監護親)が子供と暮らす親(監護親)に支払う子供の生活費や学費のことです。
「親の扶養義務であり、子どもの権利」とされる養育費ですが、継続的に支払いを受けている家庭は全母子家庭の2割と言われています。
参考:厚生労働省「養育費について」
養育費の支払いをきちんと受けるには、離婚した夫婦間であらかじめ取り決めることが重要です。実は、養育費をきちんと受け取るための決め方というものが存在します。
本記事では、養育費の決め方と見落としがちな注意点について、シン・イストワール法律事務所の弁護士が詳しく解説していきます。
養育費回収でお悩みの方は、弁護士と一緒に解決していきましょう。
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養育費は子の権利であり、親の義務です。
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養育費の決め方は3種類
養育費の決め方は、大きく分けて3種類あります。
これから養育費の取り決めをする方は、自分にあった方法を見つけていきましょう。
決め方① 当事者同士で話し合う
養育費の話し合いの基本は、当事者間つまり離婚した夫婦間での話し合いです。
当事者間で協議するメリットとしては、裁判所に出向く時間と調停などの費用をかけずに解決できることが挙げられます。
自分たちで話し合いをする場合は、以下の項目を中心に進めましょう。
- 支払い金額
- 支払い期間
- 支払い時期と方法
- 特別費用について
当事者同士での協議が失敗に終わるケースとして、離婚した相手と円滑に話ができない、知識不足のため適正な金額で交渉できない事例が代表的です。
自分たちで進められない場合は、弁護士に代理人を依頼しましょう。
弁護士に相談することで、適正な交渉をストレスなくできるでしょう。
話し合いで取り決めがまとまったら、離婚公正証書などの書類に残しましょう。
公正証書として正式に取りまとめることで、支払いが取り決め通りに履行されない場合に、強制執行など法的措置で養育費回収が可能です。
「公正証書の作成方法が分からない」「元配偶者と連絡がつかない」という場合は、弁護士と一緒に解決していきましょう。
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決め方② 養育費請求調停で話し合う
当事者同士でそもそも話し合いができない、話し合いで決着がつかなかったという場合は、養育費請求調停を申し立てます。
養育費請求調停とは、家庭裁判所の裁判官と調停委員が仲介して双方の言い分を聞きながら合意を目指す調停のことです。
第三者である調停委員が加わることで、冷静な話し合いができるというメリットがあります。
一方で、協議よりも時間がかかる、子ども1人につき1200円の収入印紙代と郵便切手代が必要などのデメリットがあるので注意しましょう。
双方の言い分や収入状況を裁判官らが聞き取った後、調停案が提示され、お互いに合意すれば終了です。合意内容は、調停証書にまとめられます。
もし合意通りに支払いが履行されない場合は、強制執行で相手の財産を差押え、強制的に養育費を回収できます。
調停案では合意できずに調停が不成立となった場合は、自動的に審判手続きへと移行されます。
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決め方③ 審判で決定する
審判手続きでは、双方の収入状況や財産状況などの資料を家庭裁判所が調査したうえで、適正な養育費の金額を判断するのです。
裁判所は、審判の内容が記載された審判書を作成し、双方に告知します。
審判の内容に不服がある場合には、不服申立て(即時抗告)をして、高等裁判所で更に争うことができます。
不服が無い場合、あるいは不服申し立てをしても退けられた場合は、審判が確定して終了です。
審判書の通りに支払いが無い場合は、家庭裁判所にて履行勧告、地方裁判所にて強制執行の手続きを行います。
ここまで、養育費の決め方には大きく3ステップがあると分かりました。
自分にどの手続きが適しているか分からない場合は、弁護士など法律の専門家に相談しましょう。
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養育費を決める際の重要ポイント4つ
ここまで、養育費の支払い方法をご紹介しました。
どの決め方でも、決めるべき項目は主に4つです。
ここからは、養育費を決める際の重要なポイントを解説していきます。
特に当事者同士で決めようとお考えの方は、よくチェックしましょう。
ポイント① 支払い金額は適正か?
養育費を決める時に最も失敗しやすいのは「不利な金額で合意させられた」ケースです。
養育費は原則月払いなので、ご自身とお子さんの生活状況をよく確認し、適正な金額で交渉しましょう。
一般的に養育費は、以下のポイントを加味して決定されます。
- 子供の人数
- 子供が15歳未満か以上か
- 元夫婦の年収がいくらか
- 元夫婦の収入を得る方法が給与か自営業か
具体的な養育費の金額を計算するには、裁判所のウェブページで公表されている養育費算定表が便利です。
ただし、算定表は子どもが3人までのケースしか用意されていません。
子どもが4人以上いるという方は、以下の計算方法で相場の養育費を算出できます。
養育費の計算式
- 両親それぞれの源泉徴収票の額面で一定の割合をかけて基礎収入を確定
- 生活費指数を按分計算する
- 養育費を支払いする方の費用分担を計算する
養育費の適正金額は元夫婦の収入事情や、家庭状況によって大きく変動します。
「自分の適正な金額はいくらなのか知りたい」「損しないように徹底的に交渉したい」という方は、弁護士に相談して正確な額を算出することをおすすめします。
養育費の計算方法について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
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ポイント② 支払い期間は明確か?
養育費を決める際、金額ばかりに気を取られがちですが、支払い期間についての取り決めも非常に重要です。
実は、親権者である母親が「大学卒業までの支払い」と思っていたが、元配偶者は「20歳までの支払い」のつもりだったとトラブルになるケースは少なくありません。
本来、養育費は「未成熟の子どもを養育するための費用」であり「未成熟な子ども」とは原則20歳未満の子どもを指します。
ただし、20歳未満でも就職し、経済的に自立している場合は、親の扶養義務は不要とみなされるケースがあるので注意しましょう。
令和4年から成人年齢が18歳となりましたが、養育費の支払い義務が18歳未満へと引き下げられることはありません。
子どもが経済的に自立していない場合は、19歳、20歳でも親の扶養義務はあると判断できます。
つまり、養育費の支払い期間は「未成熟な子どもであるか」が判断基準であるといえるのです。子どものために、養育費の支払期間はあらかじめ明確に決めておきましょう。
適正な期間が分からない、現在進行形で支払い期間についてもめているという場合は、すぐに弁護士に相談しましょう。
弁護士に依頼することで、法的な観点からスムーズに解決できます。
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ポイント③ 支払い時期と方法について合意しているか?
支払いのタイミングと方法について、具体的に決めておくことも重要です。
例えば「毎月〇日に、〇〇の銀行口座へ○○万円振り込む」のように、あらかじめルールを決めておきましょう。
支払い時期と方法についても、公正証書に盛り込んでおくと分かりやすいかもしれません。
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ポイント④ イレギュラーな出費にどう対処するか?
月払いの養育費には、基礎的な生活費や最低限の学費が含まれているのが一般的です。
しかし実際の子育てでは、以下のようなイレギュラーな出費(特別費用)が発生することが多々あるでしょう。
- 病気やけがの治療費
- 部活動や習い事の費用
- 私立学校の入学金、授業料
- 海外留学する費用
これらの費用は養育費に算定されませんが、子どもの養育のために必要な費用で、両親が公平に負担すべき費用と言えます。
イレギュラーな費用については「特別費用」として、分担方法をあらかじめ決めておきましょう。
例えば「領収書として保存しておき、1年ごとに折半する」「お互いの資産状況を見て、負担の割合を決める」などの具体的な方法を公正証書に残しておくとベストと言えます。
養育費の「特別費用」は見落としがちな項目です。協議や調停の際に忘れずに話し合いましょう。
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【知らない人も多い!】養育費の注意点3つ
ここまで、養育費の決め方、養育費の取り決めの際の重要ポイントについてご紹介してきました。
最後に、知らない人も多い養育費回収の注意点を3つ解説していきます。これから養育費回収する方は、頭の片隅に置いておきましょう。
注意点① 養育費は一括請求できる
実は、養育費は元夫婦間で同意があれば、一括請求が可能です。
一括請求によって「未払い・不払いを防げる」「早く縁を切れる」といったメリットがあるため、効率の良い養育費回収方法に思えます。
ただし「減額を要求される」「贈与税の対象となる可能性がある」デメリットがあると覚えておきましょう。
一般的に養育費は課税対象外ですが、養育費の一括払いは相当な金額となり「支払う時点で子どもの生活に必要な費用を超えている」とみなされ、贈与税の対象になる可能性があります。
養育費の一括請求は可能ですが、デメリットも大きいため、必要性を考えて判断しましょう。
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注意点② 養育費には税金がかかる可能性がある
原則として、養育費は非課税です。
養育費とは子供が健やかに暮らすために支払われるものであり、親の扶養義務から発生する費用だからです。
ただし、先ほどお伝えした通り贈与税がかかる可能性があります。
贈与税とは身内の間でお金のやり取りがあった時に、多すぎる分についてかかる税金です。
一般的には1年間に受けた贈与の合計額が110万円以上が課税対象となる目安です。
例えば、養育費の一括払いで180万円を受け取ったケースの贈与税を計算します。
180-110(基礎控除額)=70万円(基礎控除後の課税価格)
基礎控除後の課税価格が200万円以下の場合、税率は10%なので、
70×0.1=7万円
180万円の養育費を一括払いで受け取った場合、173万円が手元に残ります。
参考:国税局「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」
養育費の一括請求をお考えの方は、一度計算してみるのもいいかもしれません。
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注意点③ 口約束ではなく、公正証書に残すことが重要
養育費に関する取り決めは口約束ではなく、公正証書に残しておくことが非常に重要です。
公正証書など債務名義を持つ書類があれば、養育費の不払いや未払いが発生したときに、強制執行など法的措置で回収できるからです。
離婚公正証書のほかに、債務名義を持つ書類には種類があります。
《名称》 | 《内容》 |
離婚公正証書 | 夫婦で合意した離婚内容をまとめたもの。 |
調停調書 | 離婚時に養育費の取り決めについて、当事者間では話し合いが不可能な場合、家庭裁判所による調停で解決するのが一般的。調停で決着がついたときに作成されるもの。 |
審判書 | 調停で解決しない場合、裁判所で裁判官が両者の言い分を聞き、審判を下す。最終的な審判の内容が書かれたもの。 |
和解調書 | 裁判において、裁判所が提示した和解内容で決着をつけた場合に、その内容がまとめられたもの。 |
判決書 | 和解とならずに、裁判官の判決によって話をまとめた際に残されるもの。 |
公正証書など、債務名義を持つ書類が残っていないという方も泣き寝入りする必要はありません。
「口約束で済ましてしまった」「債務名義を持っていない」という方は、弁護士に相談して、公正証書を作るところから始めましょう。
まとめ:養育費の決め方と注意点【重要ポイントを弁護士が詳しく解説】
まとめ
- 養育費は当事者間で協議するのが基本
- 協議で決着がつかない場合は養育費請求調停、調停で決まらない場合は審判で合意する
- 話し合いは支払い金額、支払い期間、支払い時期と方法、特別費用を中心に進める
- 養育費に関する取り決めは公正証書に残す
今回は養育費の決め方と注意点について、弁護士が徹底解説しました。
養育費は子どもの成長のために重要な費用ですが、実際に支払われている家庭はごく一部です。
養育費は親の扶養義務であり、子どもの権利なので、泣き寝入りせずに交渉しましょう。
もしも養育費の強制執行の書類作成や手続きが面倒な方は、法律の専門家である弁護士に依頼すれば一連の流れを代行してもらうことができます。
最近の弁護士事務所では相談料や着手金を無料としているところもあります。
まずは無料相談で予算について話し合うのも良いかもしれません。
シン・イストワール法律事務所は、これまで数多くの養育費回収トラブルを解決に導いてきました。
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養育費回収にあたってまず何をしたら良いのか、手続きの流れが分からない、という方はぜひ一度無料相談をご利用ください。
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