離婚時に養育費を口約束だけで決めて、公正証書に残さなかった。公正証書無しでも養育費は回収できるのかな?
公正証書が無くても養育費回収できるって聞いたけど本当?
結論から申し上げますと、公正証書が無い場合でも養育費請求は可能です。
本記事では、公正証書がない場合の養育費回収の方法、公正証書作成の注意点などを弁護士が詳しく解説していきます。
養育費の請求・回収を検討されている方は必見です!
今回のテーマ
- 公正証書が無くても養育費の請求はできるのか?
- 公正証書が無いケースの養育費請求方法:5ステップ
- 公正証書を作るときの注意点
- 養育費回収を弁護士に相談するメリット
- まとめ
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公正証書が無くても養育費の請求はできるのか?
公正証書が無くても養育費は請求できる
冒頭でも申し上げた通り、公正証書が無くても養育費請求は可能です。
平成27年の国勢調査によると「養育費を受け取ったことがある」という母子家庭は約3割、父子家庭は1割にとどまりました。
養育費を受け取った家庭のうち「文書による取り決めをあらかじめしていた」という世帯は4割程度で、残りの6割は公正証書などの債務名義がない状態から養育費回収に成功したといえます。
ひとり親家庭生活実態調査報告書【概要版】
国勢調査から、公正証書が無い状態での養育費回収も十分に可能だと分かります。
たとえ元配偶者が「口約束で決めた養育費支払わない」「公正証書を作っていないから養育費を払う義務はない」と支払いを拒否しても、泣き寝入りは不要です。
養育費の請求権は、離婚後に子を監護する親がもう一方の親に対し、必要な費用の分担を求める権利とされる。
扶養義務に基づく扶養料を親に請求できるとされる子の権利を代わりに行使するものと位置づけ、民法に明示する規定を新設するといい、子自身の権利であることを明確にする。
引用:朝日新聞デジタル「養育費請求は『子の権利』 民法明記を法制審検討へ」
記事からわかるように、昨今「養育費は子どもの権利であり、親権をもたない親の扶養義務である」という見解が明確化されつつあります。
養育費は子どものために重要な費用です。元配偶者の言い分に負けずに、交渉していきましょう。
「1人では不安」という場合は弁護士に相談してみるのもおすすめです。
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公正証書は「執行受託文言」が重要
公正証書とは、協議離婚の際に養育費などの取り決めをして、内容をまとめた書類のことです。一般的に「離婚公正証書」と呼ばれます。
離婚公正証書に「養育費が支払われない場合は強制執行が可能」と執行受託文言がついているとベストで、多くの場合で養育費回収が順調に進みます。
少し難しく聞こえますが、執行受託文言付きの公正証書は債務名義として法的な効力を持つのです。
そのため、公正証書では執行受託文言が非常に重要視されます。
離婚公正証書の他にも、債務名義として法的な効力を持つ書類は、以下のような種類があります。
《名称》 | 《内容》 |
離婚公正証書 | 夫婦で合意した離婚内容をまとめたもの。 |
調停調書 | 離婚時に養育費の取り決めについて、当事者間では話し合いが不可能な場合、家庭裁判所による調停で解決するのが一般的。調停で決着がついたときに作成されるもの。 |
審判書 | 調停で解決しない場合、裁判所で裁判官が両者の言い分を聞き、審判を下す。最終的な審判の内容が書かれたもの。 |
和解調書 | 裁判において、裁判所が提示した和解内容で決着をつけた場合に、その内容がまとめられたもの。 |
判決書 | 和解とならずに、裁判官の判決によって話をまとめた際に残されるもの。 |
養育費回収において公正証書などの債務名義が非常に重要だと分かりました。
「持っていないから養育費回収は不利になるのでは?」と不安に思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、心配はご無用です。
一般的に公正証書が無い状態で養育費回収を希望される場合、債務名義となる書類を作成するところからスタートします。
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公正証書が無いケースの養育費請求方法:5ステップ
ここまで、公正証書をはじめとする債務名義の役割について説明してきました。
非常に重要な効力を持つ債務名義ですが、持っていない場合は新しく作成するところから始めましょう。
ここからは、公正証書が無いケースの養育費請求方法を5つのステップでご紹介します。
ステップ① 元配偶者と話し合い、公正証書を作成する
元配偶者と連絡がつく状態なら、まずは話し合いで養育費に関する取り決めをすることをおすすめします。
話し合いで決着がついたら、内容を離婚公正証書などの書面に残すことを忘れないようにしましょう。
公正証書などの債務名義があれば、養育費が支払われない場合に法的な手段で回収できるというメリットがあります。
離婚協議では、以下のポイントをしっかりと詰めて話し合いをしましょう。
- 離婚を合意した旨の簡単な経緯
- 慰謝料はどちらがどれだけ支払うのか
- 財産分与はどうするのか
- 子供の親権はどちらが持つのか
- 養育費の支払いに関する取り決め
- 面会交流権についての取り決め
- 年金分割
特に養育費は、以下のポイントを中心に話し合うとスムーズです。
- 養育費の金額
- 支払いはいつまでするのか
- 支払い方法どうするのか
- 不払いだった時の執行受諾文言
- 双方の環境が変わった時の再協議について
ここまで話し合いがまとまったら、公正役場に行って公正証書を作成しましょう。
ただし、公証役場には当事者双方がそろって同席する必要がある点に注意してください。多くの公証役場の営業時間は平日9:00~17:00のみになります。
元配偶者の協力を得たり、時間の都合を合わせたり、何かと手間がかかる公正証書の作成ですが、公正証書の有無によって養育費回収の結果が大きく異なります。できるだけ作成することをおすすめします。
元配偶者と連絡も取りたくない、手続きが分からないという方は、弁護士に相談するのも有効です。
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ステップ② 内容証明郵便で督促する
「内容証明郵便」とは、郵便を出した内容や発送日、相手が受け取った日付などの情報を郵便局が正式に証明するサービスです。
内容証明郵便では文書の内容が証明されるため、後日訴訟などを行う際に、意思表示の日付や内容等を立証する手段として役立つでしょう。
電話やメールよりも、正式な証拠として有利に機能します。
内容証明郵便は、郵便物の内容について、いつ、どんな内容のものを、誰から誰にあてて差し出したかということを、差出人が作成した謄本(内容を写したもの)によって証明するものです。
自主交渉ができない(話合いがつかない、使用者が応じない)場合には、配達証明付き内容証明郵便で相手に意思を伝えると効果的な場合があります。
引用:埼玉県「配達証明付き内容証明郵便について」
内容証明郵便による督促は、公正証書が無い場合でも可能です。
「元配偶者が公正証書作成の話し合いにも応じない」という場合は、内容証明郵便でプレッシャーをかける効果が期待できます。
ただし、内容証明郵便には法的な強制力がないので、確実な養育費請求方法とは言えません。元配偶者が督促に応じなかった場合は、すぐに次の手段に移りましょう。
ステップ③ 養育費請求調停を申し立てる
離婚協議で決着がつかない、内容証明郵便で効果が無かったという場合は、養育費請求調停を申し立てましょう。
養育費請求調停では、家庭裁判所の調停委員が当事者双方の意見を聞き、収入状況などの提出資料をもとに、お互いにとっての最善の解決策を提案します。
話し合いがまとまれば、債務名義書類の1つ「調停調書」を作成して終了です。
その後は調停調書に基づいて養育費の支払いが始まり、不払いが発生したときには強制執行などの法的な手段で養育費を回収します。
養育費請求調停で決着がつかない場合は、自動的に審判手続きに移行されます。審判手続きでは裁判官が仲介となり、養育費の金額などを決定します。
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参考養育費調停の流れやポイント【有利に進める5つのコツを徹底解説】
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ステップ④ 家庭裁判所による履行勧告・履行命令で督促
家庭裁判所で調査、調停などの手続きで養育費について取り決めがなされた場合は、家庭裁判所による履行勧告・履行命令の制度が利用できます。
元配偶者が家庭裁判所の履行勧告に応じない場合、一定期間内に自主的に支払うように履行命令を出して、支払いを促します。
相手方が取決めを守らないときには、家庭裁判所に対して履行勧告の申出をすると、家庭裁判所では、相手方に取決めを守るように説得したり、勧告したりします。
履行勧告の手続に費用はかかりませんが、義務者が勧告に応じない場合は支払を強制することはできません。
引用:裁判所「履行確保の手続について」
履行勧告・履行命令では、法的公共機関である家庭裁判所が当事者間に介入するので、元配偶者が支払いに応じるという一定の効果は期待できます。
しかし、履行勧告・履行命令には法的な強制力がないので、養育費回収のための確実な方法とは言えません。
ステップ⑤ 強制執行で回収する
債務名義となる公正証書を作成し、督促をしても元配偶者が支払いに応じない場合は、強制執行に移りましょう。
強制執行とは、裁判所が相手方の財産を移動できないように差し押さえをして、養育費として必要な分を強制的に請求・回収する方法です。
養育費回収の強制執行では、相手方の給与や預貯金を差し押さえるため、確実に養育費を回収できるというメリットがあります。
特に給与を差押えの対象にすると、未来分も回収可能です。
大まかに以下の手順で行われ、強力な法的措置であるため比較的スムーズに進むでしょう。
強制執行による養育費回収の流れ
- 強制執行申立に必要な書類を用意
- 元配偶者の居住地域の地方裁判所に申立を行う
- 差し押さえ申立が成立する
- 取り立てを行う
- 回収後に取り立て届けを裁判所に提出
確実性が高い強制執行は法的効力が強い分、裁判所で手続きをとる必要があります。債務名義さえ持っていればすぐに回収できる訳ではないので注意しましょう。
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参考【養育費の強制執行】必要な条件や手続きの流れ【弁護士が徹底解説】
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公正証書を作るときの注意点
ここまでの解説で、公正証書が養育費回収において非常に重要な役割を果たすと分かりましたね。
そんな大切な公正証書ですが、作成には注意すべき点が2つあります。
公正証書の作成には手数料がかかる
公正証書の作成には、手数料を支払う必要があります。
手数料の具体的な金額は、公正証書に記載されている額面の合計金額によって変化します。
例えば、離婚公正証書には「養育費は月に3万円で、子供2人が大学を卒業する年の3月まで支払う」などと、具体的な金額と人数、期間などの内容が記載されます。
子供2人に毎月3万円の養育費を10年間支払う場合の養育費の合計金額は
2人 × 3万円 × 12ヶ月 × 10年間 = 720万円になります。
養育費の合計金額が720万円の場合、手数料は5000円です。
養育費の合計金額に応じた手数料は以下を参考にしてみてください。
公正証書作成の手数料
- 100万円以下だと5000円
- 100万円以上で200万円以下は7000円
- 200万円以上500万円以下だと1万1000円
- 500万円以上で1000万円以下は1万7000円
- 1000万円以上、3000万円以下で2万3000円
- 3000万円以上で5000万円以下は2万9000円
- 5000万円以上で1億円以下は4万3000円
参考:日本公証人連合会「法律行為に関する証書作成の基本手数料」
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公証役場に当事者双方が出向く必要がある
公正証書作成の注意点として、公証役場に当事者双方が出向く手間が挙げられます。
元配偶者と顔を合わせたくない、公証役場の営業時間に都合がつけられない方にとっては、大きなストレスに感じられるかもしれません。
しかし、公正証書があるだけで強制執行をはじめとした法的措置が可能になるなど、養育費回収の選択肢が増えるというメリットがあります。
公正証書が持つ効力は大きいので、確実に養育費を回収したい方は、都合をつけて公証役場に行くことをおすすめします。
公正証書を作成するには、手数料と当事者双方が公証役場に行く手間がかかると分かりました。公正証書を作成する際は、この2点に注意しましょう。
養育費回収を弁護士に相談するメリット
ここまで、公正証書が無い場合の養育費回収方法と注意点を解説してきました。
「元配偶者と連絡を取りたくない」「手続きをする時間が無い」という方は、弁護士相談がおすすめです。
養育費回収を弁護士に相談するメリットは挙げればキリがありませんが、最後にその一部をご紹介します。
適正な養育費の金額を交渉できる
弁護士に相談する最大のメリットとして、適正な養育費の金額で交渉できることが挙げられます。
法律の専門家である弁護士は、豊富な知識と経験をもとにあなたに合った養育費を算出できます。
実際に、自力で養育費を回収するときに起こりがちなのが「適正金額を誤る」という失敗です。
過少金額では自分が損してしまい、過大金額では元配偶者が納得せず交渉が難航するというケースが多くあります。
交渉に1度失敗すると元配偶者に主導権を握られて、その後の養育費請求で不利になる恐れもあるのです。
かといって、自分で適正な金額を判断して交渉するのは非常に難しいですよね。
適正な金額の養育費をスムーズに受け取りたいという方は、自力よりも弁護士に相談するほうが得策だといえます。確かなノウハウを持った弁護士が、あなたに代わって徹底交渉いたします。
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時間と手間をかけずに解決できる
弁護士に相談すると、時間と手間を最小限に抑えることが可能というメリットもあります。
ここまでご説明した通り、養育費請求は元配偶者の反応によって予想外に交渉が長期化したり、手続きが煩雑化する可能性があります。
育児や家事、仕事といった普段の生活に加えて、手続きを並行することは簡単ではありません。
なるべく普段通り過ごしたい、手続きで時間を取られるのが嫌という方は、信頼できる弁護士に相談しましょう。
精神的負担を軽減できる
養育費回収でどうしても避けられないことは、元配偶者と連絡を取ることです。
離婚するほどの相手ですから、もう二度と顔を合わせたくないという方もいらっしゃるでしょう。
また、元配偶者のDVが原因で離婚した場合、元配偶者と再会することで、あなたが新たな危険にさらされるリスクがあります。
弁護士など法律の専門家に手続きや交渉を代行させることで、精神的ストレスやリスクを最小限に抑えることが可能です。
養育費回収や離婚問題に強い弁護士は、そうした個人の事情に配慮しながら交渉を進めます。
もう二度と会いたくないからと言って、養育費を代わりに諦める必要はありません。
養育費は子供の権利であり、親権をもたない親の扶養義務です。
泣き寝入りせずに解決していきましょう。
弁護士に養育費回収を相談するメリットは、以下のように他にもたくさんあります。
養育費回収を弁護士に相談するメリット
- 債務名義に必要な書類手続きを代行してくれる
- 強制執行に必要な書類手続きをすべて代行してくれる
- 裁判所や第三者機関とのやり取りも代行してくれる
- 減額請求を拒否できる可能性が上がる
- 増額請求が認められる可能性が上がる
- 無料相談の事務所が増えてきている
- 分割後払いできる事務所が増えてきている
- 着手金が無料の事務所が増えてきている
- 完全報酬型の事務所も増えてきている
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まとめ:養育費は公正証書が無くても請求できるって本当?【弁護士が詳しく解説】
まとめ
- 公正証書が無くても養育費請求は可能
- 公正証書が無い場合は、離婚公正証書などの債務名義書類を作成する
- 公正証書は強い法的効力を持つので重要
- 養育費回収は、予想外に手続きが長期化・煩雑化する可能性がある
- 養育費回収は弁護士に相談することで、手間・時間・ストレスを最小限に抑えられる
今回は、公正証書が無い場合の養育費請求の方法を解説していきました。
公正証書とは法的な効力を持つ公的な文書のことで、執行受諾文言付のものを作成しておくと不払いがあっても直ぐに差し押さえができます。
また令和2年から改正施行された民事執行法でも、公正証書が持つ権限は大きく強化されているほど、公正証書は養育費回収において重要な書類です。
だからこそ手間や費用をかけても、養育費に関する取り決めは公正証書にしておくべきだと言えます。
公正証書が無い場合、口約束だけで書面に残さなかった場合は、新しく債務名義書類を作成することで養育費回収が可能です。
また「養育費の未払い問題」「養育費回収の手続き」「元配偶者からの減額請求への対応」といった養育費に関するトラブルでお困りの場合は、弁護士に相談してスムーズに問題を解決することをオススメします。
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