離婚時に養育費について話し合わなかった。
さかのぼって請求することはできる?
今回は、このような疑問を解決していきます。
取り決めをしていない養育費に時効は存在しませんが、さかのぼって請求する際には注意が必要です。
養育費は親の義務であり、子の権利ですので、泣き寝入りせずに交渉していきましょう。
本記事では、取り決めなしの養育費の時効、遡って請求する場合の注意点について、シン・イストワール法律事務所の弁護士が徹底解説いたします。
養育費の未払い・不払いでお困りの方は、記事を一緒に読み進めながら解決していきましょう。
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養育費は子の権利であり、親の義務です。
泣き寝入りは終わりにしましょう。
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取り決めなしの養育費に時効はある?
離婚時に養育費について、取り決めをしていないという方は少なくありません。
取り決めをしていないからと言って、養育費回収を諦める必要はありません。
さっそく、取り決めをしていない養育費の時効について、理解を深めていきましょう。
取り決めなしの場合、そもそも時効が存在しない
取り決めなしの養育費には、時効がそもそも存在しません。
なぜなら、取り決めをしていない場合、正式に債権として認められていないため「消滅時効」の適用外となるからです。
「消滅時効」とは、養育費などの債権を行使できる期間のことです。
消滅時効が過ぎると、未払い分が残っていても回収できなくなります。
具体的には、
①債権者(あなた)が権利を行使できると知ってから5年間
②債権者が権利を行使できるときから10年間
と定められています。
改正民法(債権等の消滅時効)
第166条
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
参考:国民生活センター「消滅時効」
例えば、
離婚協議書や公正証書で取り決めをした場合、支払期日より5年間
裁判所での調停や審判にて取り決にて取り決めた場合、支払期日より10年間
が消滅時効の期間です。
しかし、そもそも取り決めをしていない場合は、公正証書や調停などの条件を満たしていないため、消滅時効が成立しません。
消滅時効がないからと言って、いつでも請求できる訳ではないので十分に注意しましょう。
ここまで、取り決めなしの養育費には、消滅時効が適用されないと分かりました。
さかのぼり請求の注意点について、具体的に見ていきましょう。
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取り決めなしで、さかのぼり請求はできるの?
結論から申し上げますと、離婚時の取り決めなしの状態からさかのぼり請求できるかは、ケース・バイ・ケースです。
過去には、取り決めなしの状態からさかのぼって請求できた判例と、できなかった判例どちらも存在します。
以下のケースであれば、取り決めなしの状態からでもさかのぼり請求が認められる可能性があります。
さかのぼり請求が認めらるケース
- 借金をするほど、生計がギリギリな状態
- 子どもと同居する親(債権者)が、病気やケガにより継続的に働くことが困難
- さかのぼって請求したい期間が比較的短期
さかのぼり請求が認められない理由としては、以下が代表的です。
さかのぼり請求が認められないケース
- これまで養育費の支払いがなくても生活できていた
- さかのぼり請求の期間が長期で、元配偶者(支払い義務者)の負担が大きい
- 元配偶者がケガや病気などで働けない状態にあり、収入が無い
- 元配偶者に経済的ゆとりがなく、資産もない
また、調停や判決によりさかのぼり請求が認められた場合でも、相手に経済的なゆとりが無ければ、実質的に回収は困難でしょう。
取り決めなしの状態から養育費回収するには、裁判所でさかのぼり請求を認めてもらい、そのうえで元配偶者から確実に回収する必要があります。
取り決めなしの状態からさかのぼり請求を行うには、高度な交渉能力が必要です。経験豊富な弁護士にお任せください。
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書類がある場合は、5年の養育費時効がある!
養育費について書類で合意をした場合には、5年の時効が存在します。
時効とは、簡単に言うと「法的効力が持続する期間」のことで、具体的には以下のケースが当てはまります。
- 離婚時に、夫婦の話し合いで養育費の取り決めをして、取り決め内容を「協議離婚合意書」という書面にしたケース
- 養育費の取り決めを離婚後に「離婚公正証書」という公正証書にしたケース
このように、取り決めをして内容を書面に残している方は、5年以内であれば「約束したのだから養育費支払いは義務です。支払ってください。」と主張して、相手に養育費を請求することができます。
書類には法的効力があるため、もし相手が支払いに応じない場合は、強制執行な度の法的措置に乗り出すことも可能です。
しかし、書類を作ってから5年以上が経過してしまうと、書類の法的拘束力がなくなるため、新たに書類を作るところから始めなければなりません。
養育費請求は時間が勝負なので、手遅れになる前に弁護士へご相談ください。
裁判所で手続きをした場合は、10年の時効がある!
養育費の時効の期間は原則として5年とご説明しました。
ただし例外として、裁判所による手続きをした場合は10年に延長されます。
- 離婚訴訟(離婚をするかどうかを裁判で決めること)などの裁判において、養育費の取り決めをしたケース
- 調停(裁判所による第三者を交えた話し合い)や審判(裁判官が養育費などについて決めること)において、養育費の取り決めをしたケース
このように、裁判にて「離婚するかどうか」「養育費はどうするか」を決めた場合は、時効が10年に延長されます。
取り決めなしの状態から養育費請求するコツ
ここまで、取り決めなしの状態からさかのぼり請求ができる可能性はケース・バイ・ケースであると分かりました。
では、取り決めなしの状態から実際にさかのぼり請求するには、どのように進めれば良いのでしょうか。
できるだけ早く請求を開始する
取り決めがない場合、できるだけ早く請求手続きを開始しましょう。
「取り決めなしなら、消滅時効が存在しないから気が向いたときに始めよう」
このように考えるのは危険です。
養育費請求は、時効の有無にかかわらず、離婚時から時間が経てば経つほど難しくなるからです。
元配偶者と疎遠になったり、再婚したりすると、そもそも養育費請求ができなかったり、請求できても大幅に減額されるケースがあります。
消滅時効の有無にかかわらず、未払い養育費は早めに回収しましょう。
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公正証書を作成する
公正証書とは、協議離婚の際に養育費などの取り決めをして、内容をまとめた書類のことです。一般的に「離婚公正証書」と呼ばれます。
少し難しく聞こえますが、公正証書は養育費という「債権」の存在を証明する「債務名義」として法的な効力を持つため重要です。
離婚公正証書の他にも、債務名義として法的な効力を持つ書類は、以下のような種類があります。
《名称》 | 《内容》 |
離婚公正証書 | 夫婦で合意した離婚内容をまとめたもの。 |
調停調書 | 離婚時に養育費の取り決めについて、当事者間では話し合いが不可能な場合、家庭裁判所による調停で解決するのが一般的。調停で決着がついたときに作成されるもの。 |
審判書 | 調停で解決しない場合、裁判所で裁判官が両者の言い分を聞き、審判を下す。最終的な審判の内容が書かれたもの。 |
和解調書 | 裁判において、裁判所が提示した和解内容で決着をつけた場合に、その内容がまとめられたもの。 |
判決書 | 和解とならずに、裁判官の判決によって話をまとめた際に残されるもの。 |
養育費は、口約束やSNSで取り決め内容を共有するのではなく、法的拘束力を持つ公正証書に残すことが重要です。
公正証書に取り決め内容をまとめることで、強制執行などの法的な手段をとれるというメリットがあります。
一方で、公正証書の作成には「元配偶者に連絡する必要がある」「作成に手間と時間がかかる」などのデメリットもあります。
弁護士であれば、すべて代行できますので、安心してお任せください。
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弁護士を通して交渉する
取り決めなしの状態から、養育費請求をを開始する際、弁護士に依頼すると効率よく回収できるため、非常におすすめです。
強制執行のような、自力では難しい法的手段も、弁護士であればスムーズに手続きを進められます。
また、元配偶者が交渉に応じない場合でも、弁護士であれば元配偶者がプレッシャーに感じ、交渉に応じるといったケースも少なくありません。
他にも、弁護士が養育費回収を代行するメリットは多くあります。
養育費回収を弁護士に相談するメリット
- 債務名義に必要な書類手続きを代行してくれる
- 強制執行に必要な書類手続きをすべて代行してくれる
- 元配偶者や裁判所、第三者機関とのやり取りも代行してくれる
- 減額請求を拒否できる可能性が上がる
- 増額請求が認められる可能性が上がる
- 無料相談の事務所が増えてきている
- 分割後払いできる事務所が増えてきている
- 着手金が無料の事務所が増えてきている
- 完全報酬型の事務所も増えてきている
取り決めなしの状態は、養育費回収の中でも特に自力交渉が難しいケースです。回収が難しくなる前に、弁護士に相談して回収をスタートさせましょう。
まとめ:取り決めなしの養育費の時効・注意点は?【弁護士が分かりやすく解説】
まとめ
- 取り決めなしの養育費には、消滅時効が成立しない
- 取り決めなしの状態からさかのぼり請求が認められるかは、ケース・バイ・ケース
- さかのぼり請求に成功するには、一刻も早く請求手続きを開始することが重要
- 弁護士なら、高度な交渉能力と専門知識を使ってスムーズに回収できる
今回は、取り決めなしの養育費の時効、遡って請求する場合の注意点について、シン・イストワール法律事務所の弁護士が徹底解説してきました。
取り決めなしの養育費は、消滅時効が存在しません。しかし、一刻も早く回収に向けて動き出すことを強くおすすめします。
元配偶者やご自身の生活状況が変化すると、受け取れる養育費の金額も変動するからです。
取り決めのない養育費は、新しく債務名義書類を作成することで養育費回収が可能です。
また「養育費の未払い問題」「養育費回収の手続き」「元配偶者からの減額請求への対応」といった養育費に関するトラブルでお困りの場合は、弁護士に相談してスムーズに問題を解決することをオススメします。
シン・イストワール法律事務所は、これまで数多くの養育費回収トラブルを解決に導いてきました。
豊富な経験とノウハウを知り尽くしたシン・イストワール法律事務所へ、安心してご相談ください。
このようにお悩みの方は、無料の初回相談で費用に関する相談をすることをおすすめします。
初回無料相談で、誠実に対応してくれるか、信頼できるかをしっかり見極めることも重要です。
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