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元配偶者が自己破産したら養育費はどうなる?

更新日:

  • 本記事の監修弁護士
弁護士 田島 聡泰 シン・イストワール法律事務所

監修者

弁護士 田島 聡泰

シン・イストワール法律事務所代表弁護士。東京弁護士会所属。
注力分野:債務整理(自己破産・過払い金・闇金・ファクタリング)・養育費回収など

「離婚相手が自己破産したら養育費はどうなるの?」
「借金が大量にある元配偶者から養育費を請求できるの?」

今回はこういった疑問を解決していきます。

離婚した夫婦間において、別居した親(非監護親)が子供と暮らす親(監護親)に支払う子供の生活費や学費のことを養育費と言います。

ですが別居した親(非監護親)が自己破産をした場合、今まで通り養育費を請求することはできるのでしょうか?

そこで今回は相手が自己破産した時の養育費や気をつけておきたい点について詳しく解説していきます。

不払いや未払いなど養育費回収で悩んでいる方は必見です!

今回のテーマ

  • 相手が自己破産したら養育費はどうなる?
  • 相手が自己破産した際の養育費に関する注意点
  • まとめ:相手が自己破産したら養育費はどうなる?

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相手が自己破産したら養育費はどうなる?

まずは自己破産と養育費の関係を見る前に、大前提として「養育費」と「自己破産」がどういう意味を持つのか知っておきましょう。

養育費とは

養育費とは未成熟子が社会的自立を果たすまで必要とされる費用のことで、生活費や学費、医療費などが該当します。

一般的には離婚した夫婦間で、子供と暮らしていない非監護親から子供と暮らす監護親に支払われます

よくある間違った認識として「養育費は離婚した相手(元配偶者)に対して支払われる費用」だと捉えている方もいらっしゃいますが、養育費はあくまでも子供に対して支払われるものです。

振込先が自分の口座だからといって私利私欲のために使うようなことがあってはいけません。

また養育費は民法887条で定められてる扶養義務に基づいて支払われる費用です。

血族(血縁関係がある人)には互いに扶養義務があり、両親が離婚したからと言って、夫婦ともに子供に対する扶養義務は無くなりません。

そのため子供に対する扶養義務がある限り、養育費の支払いを拒否することはできないのです。

自己破産とは

自己破産とは借金を減額・免除する債務整理の1種で、借金の免除を裁判所に認めてもらう手続きのことを言います。

裁判所が判断するにあたっては、債務者の収入額や借入状況などが考慮されます。

ここでは自己破産のメリット・デメリットをご紹介します。

自己破産のメリット

  • 借金をゼロにできる
  • 貸金業者からの取り立てが止まる
  • 破産後も、一定の財産を手元に残せる

自己破産のデメリット

  • クレジットカードが使えなくなる
  • 高額の財産が没収される
  • いわゆるブラックリストに一定期間登録される
  • 自己破産の事実が官報に残る
  • 就ける職業が一時的に制限される

ご覧のようにかなりデメリットが大きいのですが、本当に困っている方は借金を完全に免除するために自己破産を利用するケースがあります。

相手が自己破産したら養育費はどうなる?

ではもし養育費の義務者である離婚相手が自己破産した場合、養育費の支払いはどうなってしまうのでしょうか?

結論から申し上げると自己破産しても養育費の支払い義務が免除されることはありません

確かに養育費の支払いというのは債権に該当しますので、自己破産によって完全に免除されるようにも思われがちです。

ですが自己破産などの債務整理では例外として免除されない債権(非免責債権)が決められています。

破産法 第二百五十三条
免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。
一 租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)
二 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
三 破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)
四 次に掲げる義務に係る請求権
イ 民法第七百五十二条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
ロ 民法第七百六十条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
ハ 民法第七百六十六条(同法第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
ニ 民法第八百七十七条から第八百八十条までの規定による扶養の義務
ホ イからニまでに掲げる義務に類する義務であって、契約に基づくもの
五 雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権
六 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(当該破産者について破産手続開始の決定があったことを知っていた者の有する請求権を除く。)
七 罰金等の請求権
2 免責許可の決定は、破産債権者が破産者の保証人その他破産者と共に債務を負担する者に対して有する権利及び破産者以外の者が破産債権者のために供した担保に影響を及ぼさない。
3 免責許可の決定が確定した場合において、破産債権者表があるときは、裁判所書記官は、これに免責許可の決定が確定した旨を記載しなければならない。
4 第一項の規定にかかわらず、共助対象外国租税の請求権についての同項の規定による免責の効力は、租税条約等実施特例法第十一条第一項の規定による共助との関係においてのみ主張することができる。

破産法 e-gov 法令検索より

こちらの破産法第253条第1項には非免責債権が詳しく記載されています。

専門用語が多くて読みづらいですが、「四-ハ」を見てみると子の監護に関する義務の請求権は債務整理によって免除されることはないと記載されています。

つまり子供の監護の義務に基づいて支払われる養育費は、自己破産後も支払い続けなければならないのです。

債務整理には自己破産以外にも個人再生や任意整理といった種類がありますが、いずれの場合も養育費の債権が無くなることはありませんのでご注意ください。

相手が自己破産した際の養育費に関する注意点

上段の解説にて「離婚相手が自己破産しても養育費を受け取ることはできる」ことは分かりましたが、相手も経済的に困窮していて養育費の支払いが困難だと推定されます。

そこでいくつか注意点がありますのでご説明します。

注意点① 減額請求される可能性がある

相手が自己破産をしたということは経済的な困窮を意味しており、養育費を支払う余裕は無いはずです。

そのため養育費の減額請求をしてくる可能性が高いです。

そうしたらまずは元夫婦間で協議をおこない、互いの事情や主張を相談して方向性を決めていきましょう。

とはいえ協議で話がまとまるケースは非常に稀で、そのほとんどが揉めてしまいます。

そこで協議で合意が決まらなかった時は、家庭裁判所の調停や審判によって第三者に判断を委ねるわけですが、いくつかの条件を満たしていると減額請求が認められます。

減額請求が通りやすくなる条件

  1. 養育費を支払う義務者が再婚して扶養家族が増えた
  2. 養育費を支払う義務者の再婚相手の収入が少ない
  3. 養育費を支払う義務者の収入が減少した
  4. 養育費を受け取る権利者が再婚して
  5. 養育費を支払う権利者の再婚相手の収入が多い
  6. 養育費を受け取る権利者の収入が増えた

ご自身の状況と照らし合わせながら減額請求が通るか確認してみましょう。

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注意点② 養育費が不払いになる可能性がある

離婚相手が自己破産をするほど資産が少ない場合、養育費の支払いを無断で止める可能性も想定されます。

ですが養育費の支払いは扶養義務に基づく「義務」ですので、不払いや未払いといった行為は許されません

とはいえ元配偶者を怒らせると何をされるか分からないので、養育費の請求をためらってしまう方も少なくないでしょう

そんな時は主に3つの対処法が考えられます。

離婚相手が借金まみれで養育費を受け取れない時の対処法

  1. 家庭裁判所に調停申し立てを行う
  2. 家庭裁判所に審判申し立てを行う
  3. 強制執行で財産を差し押さえる

裁判所に調停や審判、強制執行を申し立てることで元配偶者から養育費を請求することが可能です。

基本的には調停→調停内容を無視されたら「審判」→審判内容を無視されたら「強制執行」の順番で行います。

強制執行では文字の通り、強制的に養育費分の債権を差し押さえることができます。

とはいえいずれの場合も専門的な必要書類が多いため、素人が手続きを進めるのはなかなか難易度が高く、弁護士に依頼するのが一般的です。

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まとめ:相手が自己破産したら養育費はどうなる?

  • 相手が自己破産しても養育費の支払いが免除されることはない
  • 相手が自己破産すると「養育費の減額請求」「養育費の未払い・不払い問題」が想定される
  • 養育費の調停や審判、強制執行では面倒な作業も多いが、弁護士に依頼することで書類作成や話し合いの作業を丸投げできる
  • 養育費回収で困ったら弁護士への無料相談がオススメ!

今回は相手が自己破産した時の養育費や気をつけておきたい点を説明しました。

自己破産には債権が免除されない「非免責債権」があり、養育費はこれに該当します。そのため離婚相手が自己破産しても養育費の支払いが無くなることはありません。

また相手が自己破産を終えると、「養育費の減額請求」や「養育費の未払い・不払い」といった問題が発生する可能性が高いです。

いずれの問題にしても、法律の専門家である弁護士を味方につけることで有利に進めることができます。

また専門的な書類作成も代行してくれるので安心です

費用の方も心配ご無用です。
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