養育費の未払い問題で困っている... 差し押さえするには公正証書は必要かな?
公正証書を作成するときの注意点があれば詳しく知りたい!
本記事ではこんな疑問や悩みにお答えしていきます。
養育費の支払いをきちんと受けている世帯は非常に少ないです。
養育費の支払いに関して公正証書を残していないことが、その大きな理由として挙げられています。
ここでは公正証書にすべき理由や、作成の方法なども紹介していきます。
- 民事執行法の改正による養育費支払いへの影響
- 養育費に関する内容を公正証書に残すメリット
- 養育費の内容を公正証書にするデメリット
- 離婚協議書を公正証書にする手順・記載内容
- 公正証書を作成する前に養育費について協議しておくべきこと
- 公正証書を作成する際の注意点
- まとめ:【養育費を決める時に公正証書を残すべき理由】書き方や作成方法の流れをご紹介
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民事執行法の改正による養育費支払いへの影響

令和2年の4月1日に民事執行法の改正法が施行されました。
この法改正によって、何がどう変わったのでしょうか。
法改正前の養育費の現状
養育費の支払いについては、平成28年に行われた厚生労働省のデータによると、母子家庭の4世帯に1世帯しかもらっていないそうです。
つまり養育費の支払いをしない人が、ほとんどを占めています。
こうした養育費の不払いに対しては、強制執行によって回収できるのですが、法改正が行われる前は、財産を隠されてしまい、取立がしにくい状況にありました。
それが法改正されたことで、相手は養育費の支払い義務から逃れにくくなったと考えてください。
- 養育費の強制執行を行う前には相手の財産を把握する必要がある
- この財産の把握は具体的に行う必要がある
この前提条件というのは変わらないのですが、法改正によって以下の点が変わっているのです。
- 財産開示手続きが強化された
- 公正証書があれば財産開示手続きができるようになった
- 財産開示手続きをしなかった場合の罰則強化
- 預貯金の把握が簡単になった
- 不動産の把握が簡単になった
- 勤務先の把握が簡単になった
というような点があります。
養育費に関する内容を公正証書に残すメリット

養育費に関する取り決めは離婚時に行うものです。
この時に夫婦で話し合いを行って、お互いに合意ができれば公正証書として残しておく必要があります。
公正証書を残すメリット
なぜ公正証書として残しておく必要があるのでしょうか。
そのメリットを以下に挙げてみます。
- 証拠能力が高い公的な文書である
- 公正証書には法的な効力がある
- 不払いがあった時には強制執行が行える
離婚時に養育費の取り決めをしても、公正証書にまでする人は少ないです。
何故ならそこまでするのは面倒だと思ってしまうからです。
2人が合意したのだからメールなどの文面で十分だと考える人も多いのですが、これらは公的な書類ではありませんので効力を持ちません。(必要な手続きを踏めば判断材料になることもあります)
だからこそ公正証書として残す必要があるのです。
公正証書は公証役場にて公証人が法律に基づいて作成します。
そのため公正証書に記載された内容は証拠能力が高く、仮に裁判になったとしても有効な証拠として扱われるのです。
さらに公正証書は公証役場で20年間保管されるものなので、万が一に書類を紛失しても心配要らないと言えるでしょう。
公正証書での執行受諾文言
養育費についての取り決めだと重視されるのが、「不払いがあった時は、強制執行しても良い」ことを定める執行受諾文言でしょう。
この文言がついている公正証書があれば、不払いがあった時に余計な手続きを踏まずに裁判所にいきなり申立ができます。
つまり公正証書があるかないかで、養育費の不払いに関するリスクが大きく軽減できるのが特徴だと言えるでしょう。
元配偶者のことは信じられると思っていても、公正証書に残すことは将来的なリスクを分散させることにつながるのです。
養育費の内容を公正証書にするデメリット

では養育費の取り決めを公正証書するデメリットにも考えます。
公正証書を残すデメリット
メリットは先述した通りですが、逆にデメリットになる部分はあるのでしょうか。
- 公正証書を作成するのに手数料がかかる
- 作成には当事者が出頭する必要がある
この2点についてそれぞれを確認します。
公正証書には手数料がかかる
公正証書を作成するには、手数料を支払わないといけません。
この手数料については、書面に記載されている額面の合計金額で変わります。
養育費の場合だと月に何万円で、子供が大学を卒業する年の3月まで支払いをするといったような内容が記載されるはずです。
例えば子供2人に毎月3万円の養育費を10年間支払う場合の合計金額は
2人 × 3万円 × 12ヶ月 × 10年間 = 720万円になります。
合計金額ごとの手数料は以下の通りです。
- 100万円以下だと5000円
- 100万円以上で200万円以下は7000円
- 200万円以上500万円以下だと1万1000円
- 500万円以上で1000万円以下は1万7000円
- 1000万円以上、3000万円以下で2万3000円
- 3000万円以上で5000万円以下は2万9000円
- 5000万円以上で1億円以下は4万3000円
特に公正証書を作成する時に難しい点はないので自分で手続きするといいでしょう。
もしも公正証書の作成が面倒だという方は弁護士に依頼すればすべて代行してくれます。
公正証書作成には当事者の双方が出頭しなければならない
もう1つが公正証書の作成には当事者双方が出頭しないといけない点があります。
手続きとしては公証役場に行って、書類を作成するだけなのですが、当事者双方がその場にいないと手続きができません。
つまり相手の協力が得られないのなら、公正証書は作れないのです。
ちなみに公証役場は役所ですので、営業しているのは平日の9時~17時までのみになります。
元配偶者との関係によっては時間が作れないというケースもあるかもしれませんが、公正証書の有無で大きな違いがありますので、できるだけ作成することをオススメします。
離婚協議書を公正証書にする手順・記載内容

日本国内ではほぼ協議離婚が行われています。
離婚協議書とは
協議離婚とは端的にお伝えすると、当事者同士の話し合いで離婚するケースです。
欧米では離婚をするのに裁判所を通す必要があるため、その時にしっかりと養育費の支払いに関する取り決めも行われています。
不払いになった時の罰則も規定されるので、ある意味では分かりやすいと言えるでしょう。
日本では裁判所を通す必要はなく、当事者同士の協議のみで離婚が決められます。
この時の協議内容を記したものが離婚協議書となるのです。
離婚協議書を公正証書にするには、どうすればよいのかを確認します。
- 離婚協議書の内容を確定する
- 公証役場で書類を作成する
最初に行うのは当事者同士による話し合いです。
DVなどが原因で離婚する場合は、当事者同士で協議できないかもしれません。その場合は弁護士に間に入ってもらうのが良いでしょう。
話し合いができるようなら、離婚前にしっかりと条件を詰めておき、これを公正証書にすると考えてください。
離婚協議書に記載する内容が決まり、双方が合意できたとします。
次に行うのが公証役場で公正証書を作成することです。
公証役場では当事者双方が出頭し、揃った時に公証人と一緒に公正証書を作成していくことになります。
この時に身分証明書として免許証が必要だったり、印鑑など公証人から指定されたものは忘れることなく持参してください。
先程お伝えした手数料については、当日中に現金で支払いをします。
離婚協議書に記載する内容
離婚協議書に記載する内容は、どのようなものかも確認しましょう。
- 離婚を合意した旨の簡単な経緯
- 慰謝料はどちらがどれだけ支払うのか
- 財産分与はどうするのか
- 子供の親権はどちらが持つのか
- 養育費の支払いに関する取り決め
- 面会交流権についての取り決め
- 年金分割
この7つの項目を記載するのが一般的でしょう。
ここで養育費部分のみを確認しておきます。
養育費については、主に以下の取り決めをしましょう。
- 養育費の金額
- 支払いはいつまでするのか
- 支払い方法どうするのか
- 不払いだった時の執行受諾文言
- 双方の環境が変わった時の再協議について
などを取り決めしておくといいでしょう。
特に重視したいのは不払いが起こった時の執行受諾文言です。
公正証書を作成する前に養育費について協議しておくべきこと

養育費に関する取り決めを公正証書にするとしましょう。
この時の前提として、養育費の取り決めをしなくてはいけません。
- 養育費の金額
- 支払いはいつまでするのか
- 支払い方法どうするのか
- 不払いだった時の執行受諾文言
- 双方の環境が変わった時の再協議について
養育費の金額の決め方
養育費の金額については双方が合意できるのなら幾らでも構いません。
ただし社会通念上から鑑みて多すぎるようであれば、贈与税の対象になることがあるでしょう。
一般的には養育費算定表といって、裁判所が作成しているものを参考にしつつ、養育費の額を決めていきます。
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養育費算定表に記載されている額は、飽くまでも目安でしかありません。
養育費の額に影響する要素は以下の通りです。
養育費は親の義務であり、子供からすれば権利になります。
そのため子供の人数分を支払うことになり、年齢も重要な要素となるのです。
一般的に15歳を基準としていて、14歳以下だと支払い額が少なくなる傾向にあります。
対して15歳以上だと養育費の額が高くなるのです。
また両親の年収についてもポイントになってきます。
およそですが統計的なデータを見ると、男性よりも女性の方が収入が100万円以上低いとされています。
そのため女性が親権保有者だと、収入が多い男性が多めに養育費を支払うのです。
逆に男性が親権保有者の場合、女性の収入が低ければ負担が少なくなります。
いずれにしても大切なことは、最初から無理をしない範囲にしておくことです。
子供の年齢にもよりますが、あまりにも負担の大きな額だと支払い続けるのが困難になってきます。
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養育費の支払いはいつ終わる?
また養育費の支払いがいつ終わるのかというのも確認したい事項です。
一般的には成人年齢までとするのですが、近年では大学に進学する子供がほとんどになっています。
このケースだと成人はしていても、経済的な自立はしていないので大学の卒業となる年齢までは支払うのが通例です。
他にも執行受諾文言については、必ずもらうようにします。
公正証書の作成をするとしても、執行受諾文言があるかないかで大きく違うためです。
もし不払いがあった時のためにも、執行受諾は絶対に譲ってはいけません。
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双方の環境が変わった時の再協議について
最後にお互いの環境が変わった時の再協議についても触れておくべきです。
離婚時のお子さんの年齢にもよりますが、養育費の支払期間は10年以上も継続するケースがあります。
この場合に双方の環境が変化する可能性は十分にあるでしょう。
例えば病気になって会社を辞めざるを得なかった、会社が倒産してしまったなどのようなケースは考慮すべきです。
他にもお互いに再婚する可能性もあります。
こうした環境の変化があった時に、養育費をどうするのか再度話し合いの機会を持つことを取り決めしておきましょう。
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公正証書を作成する際の注意点

最後に自分で公正証書を作成する時の注意点を確認しておきます。
公正証書は作るのが大変
公正証書を作るのは、自分でも問題ありません。
インターネット上には無料で利用できる公正証書のテンプレートがあり、この形式に沿って作成すればいいからです。
ただし養育費も含めた離婚協議書となると、独自の項目などもあります。
ですので自分たちのケースに合わせて、テンプレートの項目を増やしたり逆に不必要なものを削除したりしないといけません。
こうしたカスタマイズに時間が取られてしまうでしょう。
また自分で公正証書を作成した場合、その精度が高いかどうかがわかりません。
前段でもお伝えしましたが、公正証書とは法的な効力を持つ書類になります。
そのため記載抜けがないのか、不備があるのかを慎重にチェックしないといけません。
これらが抜けていると、後々にトラブルになる可能性もあるでしょう。
では安全に確実に公正証書を作成するにはどうしたら良いのでしょうか?
公正証書を作るなら弁護士
そうしたリスクを回避するのなら、専門家の弁護士に依頼するのが一番です。
離婚協議書の内容を公正証書にすると言うのなら、協議をする段階から弁護士に依頼しておくといいでしょう。
離婚時の協議でも有利に進められますし、養育費の請求などについても過不足なく対応してくれるはずです。
まとめ:【養育費を決める時に公正証書を残すべき理由】書き方や作成方法の流れをご紹介

養育費の取り決めは公正証書に残すべきかについてまとめました。
離婚に関する協議書というのは、日本ではあまり重視する人がいません。
ですが実際には後々になってトラブルになる可能性を考えると、日本国内でも離婚時にはしっかりと取り決めをして公正証書にすべきです。
公正証書とは法的な効力を持つ公的な文書のことで、執行受諾文言付のものを作成しておくと不払いがあっても直ぐに差し押さえができます。
また令和2年から改正施行された民事執行法でも、公正証書が持つ権限は大きく強化されているのです。
だからこそ手間や費用をかけても、養育費に関する取り決めは公正証書にしておくべきだと言えます。
また「養育費の未払い問題」「養育費回収の手続き」「元配偶者からの減額請求への対応」といった養育費に関するトラブルでお困りの場合は、弁護士に相談してスムーズに問題を解決することをオススメします。
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