養育費の強制執行ってどんな事をするんだろう... 必要な手続きや流れを知りたい!
未払いの養育費を強制執行で差し押さえる時は、誰に頼めば良いのかな...
本記事ではこんな疑問や悩みにお答えしていきます。
夫婦が離婚した際に支払われる養育費ですが、「ある日を境に支払われなくなった」「そもそも養育費が支払われない」といったケースは少なくありません。
そこで今回は未払いの養育費を強制的に差し押さえる「強制執行」のメリットや必要条件、手続きの流れについて詳しくご説明していきます。
また本記事では分かりやすく解説するために「夫婦が離婚してシングルマザーが子供を育てているという状況」を想定して解説していきます。
- 元夫からの養育費の支払いがまったく行われない...
- 急に養育費が支払われなくなったから未払い分を回収したい...
といった悩みを抱えている方は必見です!
今回のテーマ
- 養育費の強制執行のメリット
- 養育費の強制執行をするための条件
- 養育費の強制執行の流れ
- 養育費の強制執行を弁護士に依頼するメリット
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養育費の強制執行のメリット
養育費の強制執行とは何か、どういったメリットがあるのかを見ていきます。
そもそも強制執行とは
強制執行とは、借金を返済しない相手に対して裁判所が強制的に資産を差し押さえる手続きのことです。
つまり、強制執行という手続きをとることで未払い養育費は回収できるのです。
強制執行手続は,勝訴判決を得たり,相手方との間で裁判上の和解が成立したにもかかわらず,相手方がお金を支払ってくれなかったり,建物等の明渡しをしてくれなかったりする場合に,判決などの債務名義を得た人(債権者)の申立てに基づいて,相手方(債務者)に対する請求権を,裁判所が強制的に実現する手続です。
裁判所 / 民事執行手続より
差し押さえる資産の対象としては「不動産・自動車」「給料・預貯金」「家財道具」「建物明け渡し」などがあります。
養育費の強制執行の場合は「給料・預貯金」が最も一般的です。
養育費の強制執行とは、裁判所が養育費を支払わない元配偶者に対して、養育費回収のために強制的に給料や預貯金を差し押さえる手続きのことを言うのです。
養育費の強制執行のメリット
強制執行のメリットとして、具体的に以下の3つが挙げられます。
養育費の強制執行のメリット
- 元配偶者の給料から差し押さえるので確実性が高い
基本的に給料は安定的に振り込まれますので、毎月金銭債権として給料の一部を養育費として強制的に受け取ることができます - 将来分の養育費を差し押さえできる
一度手続きをしてしまえば金銭債権として給料の一部が毎月継続的に振り込まれるようになりますので未払い・不払いの心配が不要になります - 一括で預金口座を差し押さえることも可能
給料ではなく預貯金を差し押さえる際は、債権額を満たすまでなら一括で回収することも認められています
養育費の強制執行では、給料または預貯金が差し押さえられるのが一般的です。
給料を差し押さえる場合には、回収可能な金額に以下のような制限があると覚えておきましょう。
- 元配偶者の手取り額が66万円以下の場合...手取り額の50%まで回収可能
例)手取り額が50万円の場合は50%の25万円まで差し押さえ可能 - 元配偶者の手取り額が66万円以上の場合...手取り額から33万円を引いた全額を回収可能
例)手取り額が100万円の場合は33万円を引いた67万円まで差し押さえ可能
参考:国税庁「第76条関係 給与の差押禁止」
預貯金を差し押さえる場合、差押禁止債権に該当しないので無制限に回収できます。
例えば元配偶者の預貯金が100万円、養育費の債権額が100万円の場合、元配偶者の貯金残高が0円になったとしても100万円全額を回収できるわけです。
とはいえ、元配偶者の生活環境や経済的状況に応じて裁判所が制限を加えることがあり、100%全額回収できるとは言い切れませんのでご注意ください。
養育費の強制執行をするための条件
強制執行は強い法的措置であるため、実行には条件が定められています。
養育費の強制執行の条件は、以下の3つです。
- 相手の現住所を把握している
- 相手の資産状況を把握している
- 債務名義を持っている
それでは、1つずつ具体的に説明していきます。
条件① 相手の住所を把握している
養育費に限らず、強制執行をする際には相手の住所を把握しておく必要があります。
なぜなら、強制執行が開始した際に、裁判所が発布する「差押命令」を元配偶者へ送付する必要があるからです。
差押命令が元配偶者に届かない状態での強制執行は認められません。
そんな方でも心配ご無用です。
債権回収に強い弁護士に相談すれば、「弁護士会照会制度」で簡単に元配偶者の住所を特定することが出来ます。
弁護士会照会制度とは、必要書類や資料などの情報を、公的機関や一般企業に対して開示要求できる制度のことです。
弁護士会照会とは、弁護士が依頼を受けた事件について、証拠や資料を収集し、事実を調査するなど、その職務活動を円滑に行うために設けられた法律上の制度(弁護士法第23条の2)です。
個々の弁護士が行うものではなく、弁護士会がその必要性と相当性について審査を行った上で照会を行う仕組みになっています。
引用:日本弁護士連合会「弁護士会照会制度(弁護士会照会制度委員会)」
弁護士に一括して依頼することで、手間と時間、精神的負担をかけずに解決できるというメリットがあります。
まずは自力でやりたいという方は、住民票を参照する方法がおすすめです。
他にも、探偵事務所にお願いする方法がありますが、弁護士と比べると費用が多くかかる可能性が高いでしょう。
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条件② 相手の資産状況を把握している
2つ目の条件は、相手の資産状況を把握していることです。
いくら元配偶者の養育費未払いが続いていたとしても、仕事や生活状況の変化などによって、相手の資産がまったく無ければ差し押さえは不可能です。
そのため元配偶者の持つ資産状況を特定し、どのように強制執行を進めるか前もって計画しておく必要があります。
強制執行の対象となる資産には、以下のような種類があります。
養育費の強制執行では「給料」や「預貯金」を差し押さえの対象となるケースがほとんどです。
「現住所は分かっても、仕事や資産状況までは分からない。聞けない!」
そんな時は、弁護士に一括して任せることをおすすめします。
弁護士は元配偶者の住所や資産状況の調査はもちろん、強制執行に必要な書類手続きなども全て代行いたします。
最近は「相談料・着手金無料」という法律事務所も増えているので、費用対効果を考慮しても、弁護士に相談することをおすすめします。
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条件③ 債務名義を持っている
強制執行の条件の3つ目は「債務名義を持っていること」です。
債務名義とは「裁判所などの公的機関が、個人に養育費を受け取る権利があると認めた書類」のことです。
つまり、債務名義があることで初めて正式に強制執行が認められるため、必須な書類と言えます。
《名称》 | 《特徴》 |
離婚公正証書 | 夫婦で合意した離婚内容をまとめたもの。養育費に関する執行受託文言がついているとベスト。 |
調停調書 | 離婚時に養育費の取り決めについて、当事者間では話し合いが不可能な場合、家庭裁判所による調停で解決するのが一般的。調停で決着がついたときに作成されるもの。 |
審判書 | 調停で解決しない場合、裁判所で裁判官が両者の言い分を聞いて審判を下す。最終的な審判の内容が書かれたもの。 |
和解調書 | 裁判において、裁判所が提示した和解内容で決着をつけた場合に、その内容をまとめられたもの。 |
判決書 | 和解とならずに、裁判官の判決によって話をまとめた際に残されるもの。 |
とはいえ「離婚時、養育費に関して口約束はしたが、細かく書類は作成しなかった」というケースも多いのが現状です。
残念ながら、誓約書、LINEやメールといったメッセージは私的な証拠であり、債務名義としては機能しません。
ただし、私的な証拠は、離婚裁判や債権名義の作成において重要な資料として役立つので保存をおすすめします。
実はこうしたLINEやメールなどのメッセージといった私的な証拠は、離婚裁判や債務名義作成における重要な資料となるのです。
「公的な書類はないけれど私的な証拠は持っている」方は、まずその証拠を活用して債務名義を作成することから始めましょう。
債務名義の作成が面倒だという方は、弁護士に調査から書類作成まで全てお任せください。
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養育費の強制執行の流れ
ではここからは強制執行3つの条件を満たしたという前提で、強制執行の流れについて解説していきます。
強制執行の条件
- 相手の現住所を把握している
- 相手の資産状況を把握している
- 債務名義を持っている
養育費の強制執行の大まかな流れは以下の5ステップです。
- 強制執行申立に必要な書類を用意
- 元配偶者の居住地域の地方裁判所に申立を行う
- 差し押さえ申立が成立する
- 取り立てを行う
- 回収後に取り立て届けを裁判所に提出
それでは順番に見ていきましょう。
流れ① 強制執行申立に必要な書類を用意
強制執行申立に必要な書類として、具体的に以下の公的書類が必要です。
《名称》 | 《特徴》 |
債務名義 | 調停調書や和解調書など。公的機関が個人に対して養育費を受け取る権利があることを認めた書類。 |
速達証明書 | 元配偶者(養育費の債務者)の元に執行認諾文言付きの公正証書が送達されたことを証明する公的な書類。 |
資格証明書 | 元配偶者(養育費の債務者)が法人の場合に必要。企業情報が商業登記簿に登記されていると証明する公的な書類。 |
当事者の住所などを記載した当事者目録 | 債務者と債権者の氏名や住所を記載する書類。戸籍謄本、住民票、商業登記事項証明書等の公文書でその同一性を証明できる。 |
当事者の住民票や戸籍謄本 | 債務者と債権者の住民票や戸籍謄本。役所から取り寄せることが可能。 |
請求債権目録 | 請求する養育費の合計金額や期限、今後の養育費の金額や毎月の支払い額を記載する書類。 裁判所のホームページからテンプレートをダウンロード可能。 |
差押債権目録 | 債権者の勤務先屋条件ごとの支払い額、未払い合計額などを記載する書類。 裁判所のホームページからテンプレートをダウンロード可能。 |
強制執行申し立てに必要な種類はケースバイケースで個人差があるため、弁護士に相談することをおすすめします。
法律の専門家である弁護士なら、ワンストップで対応可能です。
流れ② 元配偶者の居住地域の地方裁判所に申立を行う
強制執行申立に必要な書類を用意したら、地方裁判所に申立を行います。
自分の居住地ではなく元配偶者の居住地の地方裁判所に申立する点に注意しましょう。
ちなみに申立の際はいくつか必要経費がかかります。
- 子供の人数 × 4,000円の収入印紙
- 約4,000円の郵送代(裁判所によって異なる)
*子供が3人の場合は3 × 4,000 + 4,000 = 16,000円程度必要
書類に不備があると、その度に収入印紙や郵送代が必要になるので、記入ミスがないかしっかりと確認しておきましょう。
流れ③ 強制執行申立(差し押え申立)が成立する
提出した書類に不備がなければ、ほとんどのケースで申立が成立し、裁判所から差し押さえ命令が債務者・勤務先・金融機関に送達されます。
差し押さえ申立が成立すると裁判所から送達通知書と陳述書が届くので、確認しましょう。
- 送達通知書
差し押さえ命令が送達されたことを通知する裁判所による書類 - 陳述書
裁判所から債務者の勤務先などの第三者機関に差し押さえ命令が届いた後、第三者機関から申立人(債権者)に送られる債権内容が書かれた書類
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流れ④ 取り立てを行う
送達通知書が債務者の手元に届いてから1週間が経過すると、取り立てを実行できる状態になります。
差し押さえ対象が預貯金の場合は銀行に、給料の場合は債務者の勤務先に連絡をして、差し押さえの詳細を話し合います。
元配偶者と話すことはありませんのでご安心ください。
ただし、給料の差し押さえのように継続的に差し押さえる場合は、その額や振込先の口座を話し合う必要があります。
連絡をとって詳細を話し合うのが面倒な方は、弁護士にすべて任せることをおすすめします。
流れ⑤ 回収後に取り立て届けを裁判所に提出
第三者機関との話し合いが完了し無事に養育費の未払い分を回収できたら、裁判所に「債権取立届兼取下書」という書類を提出しましょう。
債権取立届兼取下書とは債権回収が完了したことを裁判所に知らせる書類です。
裁判所のホームページにテンプレートがありますので、すぐに記入できます。
ちなみに必要な記入事項は以下の通りです。
- 債権者名と押印
- 債務者名
- 第三債務者名(会社名や銀行名)
- 差し押さえが完了した年月日と取り立て額
- 取り立てが完了したか否か
養育費の強制執行の流れは以上になります!
未払い養育費を回収するまで流れが多いと感じた方は、弁護士に代行依頼して、簡単に済ませる方法がおすすめです。
養育費の強制執行を弁護士に依頼するメリット
では最後に養育費の強制執行を弁護士に依頼するメリットについてご説明します。
結論から申し上げますと、養育費の強制執行は「弁護士に相談する」一択です。
具体的なメリットを見てみましょう。
- 債務名義に必要な書類手続きを代行してくれる
- 強制執行に必要な書類手続きをすべて代行してくれる
- 裁判所や第三者機関とのやり取りも代行してくれる
- 養育費回収までスピーディー
- 減額請求を拒否できる可能性が上がる
- 増額請求が認められる可能性が上がる
- 無料相談の事務所が増えてきている
- 分割後払いできる事務所が増えてきている
- 着手金が無料の事務所が増えてきている
- 完全報酬型の事務所も増えてきている
ご覧のように弁護士に相談するメリットは数え上げれば切りがありません。
何より面倒な書類作成や裁判所とのやり取りをすべて代行してもらえるというのは、弁護士に任せる最大のメリットと言えます。
もともと専門的な知識のない方ならなおさらです。
「元配偶者に連絡を取りたくない」「子育てと並行して手続きをするのは辛い」という方は、弁護士に依頼して、精神的負担を軽く済ませましょう。
弁護士費用が不安な方も心配不要です。最近は「相談料・着手金0円」で受け付けている法律事務所も増えています。
まずは無料相談で弁護士に任せられるかを判断するというのもいい方法です。
まとめ:【養育費の強制執行】必要な条件や手続きの流れを弁護士が徹底解説
- 強制執行とは借金を返済しない相手に対して裁判所が強制的に資産を差し押さえる手続きのこと
- 養育費の強制執行では預貯金(制限なし)や給料(制限あり)を差し押さえることが多い
- 養育費の強制執行をするには「相手の住所を把握している」「相手の資産状況を把握している」「債務名義を持っている」の3つの条件が必要
- 養育費の強制執行では面倒な作業も多いが、弁護士に依頼することで書類作成や話し合いの作業を丸投げできる
- 養育費の強制執行で困ったら弁護士への無料相談がオススメ!
今回は養育費の強制執行のメリットや条件、具体的な手続きの流れについてを説明しました。
養育費は扶養義務のある債務者から債権者に支払われるお金で、法的な親子関係がある限り拒否することはできません。
ですが実際に養育費の支払いが行われている世帯はほんの一部。それ以外は未払い・不払いであることがほとんどなのです。
こうした未回収の養育費を取り戻すことができるのが強制執行による資産差し押さえです。
裁判所への書類提出や第三債務者とのやり取りによって、確実に正当な額の養育費を回収することができるのです。
もしも養育費の強制執行の書類作成や手続きが面倒な方は、法律の専門家である弁護士に依頼すれば一連の流れを代行してもらうことができます。
最近の弁護士事務所では相談料や着手金を無料としているところもあります。
まずは無料相談で予算について話し合うのも良いかもしれません。
シン・イストワール法律事務所は、これまで数多くの養育費回収トラブルを解決に導いてきました。
豊富な経験とノウハウを知り尽くしたシン・イストワール法律事務所へ、安心してご相談ください。
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