養育費を不払いにされた時はどうしたら良いんだろう... 具体的な対処法を知りたい!
何ヶ月も養育費が未払いで生活が苦しい...未払い養育費を請求する方法はないかな?
この記事ではこんな疑問や悩みにお答えしていきます。
養育費の不払いは社会的な問題です。
離婚時に取り決めをしても実際には支払われず、悩んでいる方が多くいます。
本記事では、養育費の不払いの現状、対処法を具体的に弁護士が解説していきます
今回のテーマ
- 養育費を受けている家庭が約2割という悲しい現実
- 養育費不払いの解決方法:公正証書があるケース
- 養育費不払いの解決方法:公正証書がないケース
- 強制執行(差し押さえ)による養育費の請求方法や流れ
- まとめ
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養育費は子の権利であり、親の義務です。
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養育費を受けている家庭が約2割という悲しい現実

厚生労働省の調査では「未払いなく、養育費の支払いをきちんと受け取っている世帯」は全体の約2割しかいないことが分かっているのです。
ちなみに残りの養育費を受け取っていない8割のうち、
- 2割は過去には支払いがあったが、未払いになってしまった
- 6割はそもそも養育費を貰ったことがない
といった数値になっています。
そもそも養育費は子供の権利であると同時に、親としての義務でもあるのです。
そのため養育費を支払わないという選択肢はありません。
ですが現実としては、離婚した世帯の多くで養育費の支払いはなく、未払いなケースが多いようです。
これは親権を持たない側の意識が低いことにも起因しますが、親権を持つ方も未払い養育費は過去の分も含めて請求できることを知らないことが原因かもしれません。
相手に収入がない、または借金がある、ギャンブルが好きなどの理由から、未払い養育費を請求することを諦める人も少なくないのです。
ですが実際には養育費の支払いは義務であるため、最終的には強制執行といってお給料を差し押さえることで養育費を請求・回収可能です。
この事実を知らないと、せっかく請求できる養育費を貰わずに損してしまい、苦しい生活が続くということも。
養育費の不払いでお困っている方は、強制執行(差し押さえ)など然るべき対処法で未払い養育費を請求することをオススメします。
養育費の支払いがされにくい原因
ちなみに日本では夫婦の離婚のほとんどが協議離婚になります。
協議離婚とは夫婦が話し合って離婚することで、合意に至った場合は離婚届を役所に提出するだけですむのです。
誰かに遮られることなく離婚できる、という点は協議離婚のメリットの1つかもしれません。
ですが一方で離婚によって生じる社会的な義務(養育費の支払いや扶養義務など)を感じにくくなるというデメリットもあります。
結果として養育費の支払いが、ほとんどなされていない現状に繋がります。
日本の司法の仕組みも原因の1つ
欧米では離婚をする場合、裁判所を通す必要があります。
この時に養育費や慰謝料などの取り決めも行われるのです。
また養育費などの支払いを破った場合は、法的に罰せられるようになっています。
欧米に対して、日本では養育費の不払いをしたからといって、罪に問われることがありません。
こうした司法の違いもまた、養育費についての考えを浅くさせている原因の1つだと言えるでしょう。
養育費不払いの解決方法:公正証書があるケース

日本国内では協議離婚がほとんどですが、協議の際に養育費についての取り決めをして、さらに離婚公正証書を作成しているとスムーズに話が進みます。
「離婚公正証書がある=債務名義が認められる」とみなされ、養育費の支払い義務が法的に発生している状態です。
そのため、離婚公正証書が未払い養育費請求で重要視されるのです。
離婚公正証書があると「法的に養育費支払い義務が発生している」という前提で話を進められるので、比較的少ない手間と時間で解決できるというメリットがあります。
離婚公正証書に「養育費が支払われない場合は強制執行が可能」と執行受託文言がついているとベストで、円滑に交渉が可能です。
債務名義として使える書類としては、以下のような種類があります。
《名称》 | 《特徴》 |
離婚公正証書 | 夫婦で合意した離婚内容をまとめたもの。 |
調停調書 | 離婚時に養育費の取り決めについて、当事者間では話し合いが不可能な場合、家庭裁判所による調停で解決するのが一般的。調停で決着がついたときに作成されるもの。 |
審判書 | 調停で解決しない場合、裁判所で裁判官が両者の言い分を聞き、審判を下す。最終的な審判の内容が書かれたもの。 |
和解調書 | 裁判において、裁判所が提示した和解内容で決着をつけた場合に、その内容をまとめられたもの。 |
判決書 | 和解とならずに、裁判官の判決によって話をまとめた際に残されるもの。 |
書類を用意するのが面倒くさい、書類の作成方法がわからない、といった方は弁護士に相談することですべての作業を任せることができます。
①内容証明郵便で督促

「内容証明郵便」とは、郵便を出した内容や発送日、相手が受け取った日付などの情報を郵便局が正式に証明するサービスです。
内容証明郵便では文書の内容が証明されるため、後日訴訟などを行う際に、意思表示の日付や内容等を立証する手段として役立ちます。
電話やメールよりも、証拠として有利に機能するのでおすすめです。
内容証明郵便は、郵便物の内容について、いつ、どんな内容のものを、誰から誰にあてて差し出したかということを、差出人が作成した謄本(内容を写したもの)によって証明するものです。
自主交渉ができない(話合いがつかない、使用者が応じない)場合には、配達証明付き内容証明郵便で相手に意思を伝えると効果的な場合があります。
引用:埼玉県「配達証明付き内容証明郵便について」
②家庭裁判所による履行勧告・履行命令で督促
内容証明郵便で督促をした後に不払いのままであるのなら、家庭裁判所による履行勧告・履行命令の制度が有効です。
公正証書だけでなく、家庭裁判所で調査、調停などの手続きを経て、養育費の支払いについて取り決めがなされた場合に、履行勧告がなされます。
相手方が履行勧告に応じない場合、家庭裁判所が一定期間内に自主的に支払うように履行命令を出すことも可能です。
相手方が取決めを守らないときには、家庭裁判所に対して履行勧告の申出をすると、家庭裁判所では、相手方に取決めを守るように説得したり、勧告したりします。
履行勧告の手続に費用はかかりませんが、義務者が勧告に応じない場合は支払を強制することはできません。
引用:裁判所「履行確保の手続について」
履行勧告・履行命令では、法的公共機関である家庭裁判所が当事者間に介入するので、相手方が支払いに応じるという一定の効果は期待できます。
しかし、履行勧告・履行命令には法的な強制力がないので、養育費回収のための確実な方法とは言えません。
③強制執行で養育費を回収
内容証明郵便、家庭裁判所による履行勧告・履行命令の制度を利用しても、相手方が養育費の支払いに応じない場合、強制執行をおすすめします。
強制執行とは、裁判所が相手方の財産を移動できないように差し押さえをして、養育費として必要な分を強制的に請求・回収する方法です。
養育費回収では相手方の給与所得への強制執行が一般的で、養育費を確実に回収できるメリットがあります。
公正証書がある場合、
①内容証明郵便による督促、②履行勧告・履行命令、③強制執行
の順番で対処していくとスムーズだと分かりました。
次に、公正証書がない場合の養育費不払いの解消方法をご紹介します。
養育費不払いの解決方法:公正証書がないケース

債務名義となる公的な書類があると、比較的スムーズに強制執行による養育費請求への手続きができると分かりました。
では逆に公正証書がない場合はどうすればよいのでしょうか。
結論から申し上げますと「そもそも養育費について取り決めをしていない」「取り決めはしても公正証書がない」という場合でも、養育費回収は可能です。
ここからは、実際の方法を詳しく解説していきます。
養育費請求調停を申し立てる
債務名義が存在しない場合はまず元配偶者に対して未払い養育費の請求を求めるために、養育費請求調停を申し立てる必要があります。
養育費請求調停とは養育費の支払いに関する取り決めを改めて行うもので、一般的に相手方の居住地を管轄する家庭裁判所で行われます。
「調停」とは裁判官が直接的に裁くものではなく、調停委員が当事者間に入って協議を進めるものです。
養育費請求調停では、子供の戸籍謄本や双方の生活状況、収入、意見を聞きながら話をまとめます。
参考:裁判所「養育費請求調停」
調停委員からアドバイスや提案がされるので、お互いに納得ができれば調停調書を作成して終了です。
調停が成立した後は元配偶者から、任意で支払いを受けることになります。
ただし相手が調停での合意を守らずに不払いを起こした時は、強制執行の対象とできるのです。
養育費請求調停が不成立なら審判へ
仮に調停が不成立だった場合はどうなるのでしょうか。
調停はお互いの合意が必須ですので、どちらかが折れないと決着はつきません。
この場合は調停を不成立として、裁判所で行われる審判に移行します。
審判になると裁判官がお互いの話を聞いた上で、ケースバイケースで妥当な養育費の額を決定するのです。
ここで養育費の支払いが認められない、ということはほぼありません。
審判の場合は裁判官が最終的に養育費の額などを決め、審判書が発行されることになります。
この審判書があれば、相手から任意で養育費の支払いを期待できます。
当然ですが、審判書にも強制執行をする効力が認められているので、元配偶者が養育費を不払いにしたとなると差し押さえが可能となります。
審判書が発行された時点で元配偶者の逃げ道が無くなると考えていいでしょう。
強制執行(差し押さえ)による養育費の請求方法や流れ

債務名義を取得した後に養育費の不払いがあったとします。ここでようやく強制執行を行うことができるのです。
強制執行とは
強制執行という言葉は聞き慣れませんので、差し押さえという言葉の方がイメージできる人が多いでしょう。
簡単にお伝えすると、相手の財産を裁判所が移動できないようにして、必要分を請求・回収するといった方法になります。
特に効果的なのは、元配偶者の給与所得に対する強制執行です。
強制執行による差し押さえが認可されると、裁判所から元配偶者が勤務する会社に連絡がいきます。
そして会社と話し合いをすることで、いわゆる天引きする形で口座に振込をしてもらえるのです。
この方法であれば元配偶者の意思は関係ありません。
給料から天引きされる形になるので、元配偶者が勤務先を辞めない限りは確実に回収できるのです。
この給料の差し押さえが効果的なのは、不払いの分だけではなく将来的に受け取る分までも対象とできる点でしょう。
強制執行に必要な条件
強制執行をするには、以下の3つの条件を満たさないといけません。
- 債務名義と速達証明書があるかどうか
- 元配偶者の現在の住所を把握しているのかどうか
- 元配偶者の財産を把握しているのかどうか
この3つを満たすことで前提条件がクリアしたことになります。
債務名義というのは先程からお伝えしているものなので、ここはクリアしていると考えて良いでしょう。
速達証明書については養育費の義務者に調停調書などの謄本が、手元に届いているのかどうかを証明してくれるものです。
公正証書の場合は公証役場に、調停調書や審判書だと家庭裁判所に申請して交付してもらいましょう。
養育費の不払いによる差し押さえをするとしても、相手の住所が分かっていないと実行ができません。
同じく財産にしても先に把握しておかないと、いざ強制執行をしても財産がなければ空振りに終わってしまいます。
これらの情報については、弁護士に依頼をして調査してもらうといいでしょう。
強制執行の注意点
とはいえ強制執行とはかなり強い効力を持っているので、きちんとした手続きと段階を踏まないといけません。
そのため債務名義なども必要となってくるのです。
ただ1つ注意しないといけないのは、強制執行を行うには裁判所に申立をして手続きする必要がある点でしょう。
例えば調停調書に強制執行の効果があるからといって、養育費が不払いになった瞬間に勝手にできるものではありません。
きちんと裁判所に手続きをする必要があるので、その点だけは間違わないようにしてください。
では実際に強制執行を行う時はどういった手続きが必要なのでしょうか。
養育費差し押さえの対象

続いて差し押さえの対象についても確認します。
不払い養育費回収のための差し押さえ対象としては、給与や預貯金になることがほとんどだと考えてください。
- 現金や貴金属に高級ブランド品などの動産
- 元配偶者名義の不動産
- 元配偶者が権利を持つ債権
といった資産が対象となる可能性もあります。
強制執行の手順
後は裁判所に対して手続きをするだけです。
方法は以下の通りになります。
- 裁判所に強制執行の申立をする
- 申立が成立するのを待つ
- 成立後1週間が経過すれば取立ができる
- 回収ができれば裁判所に取立届を提出する
事前に元配偶者の情報を用意したり、申立のための書類を揃える必要があります。
これらの手続きは自分でもできますが、原則として弁護士に任せる方がいいでしょう。
強制執行について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
-

【養育費の強制執行】必要な条件や手続きの流れ【弁護士が徹底解説】
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まとめ:養育費を不払いにされたときの対処方法【弁護士が徹底解説】

まとめ
- 公正証書がある場合は、①内容証明郵便による督促、②家庭裁判所の履行勧告・履行命令で督促、③強制執行という手段がある
- ない場合は、養育費請求調停を申し立てて公正証書(調停書、審判所)を作成する
- 養育費を確実に回収するには、強制執行が有効
- 公正証書や強制執行は弁護士に相談
本記事では、養育費を不払いにされた時の対処法について弁護士が解説してきました。
養育費の不払いは非常に多く、社会的な問題だとも言えます。
近年では離婚件数も増加傾向にありますので、お子さんがいる家庭は余計に養育費について真剣に考える必要があるでしょう。
理想的なのは離婚協議をする時に養育費に関する取り決めをしておき、それを公証役場にて公正証書にしておくことです。
もし不払いにあったとしても、スムーズに強制執行の手続きができます。
仮に養育費に関する取り決めをせずに離婚したという場合は、先ずは養育費に関する調停を申立しないといけません。
その後に不払いがあれば、強制執行を行うという流れになります。
養育費回収は制度自体が難しく、手続きが煩雑なうえ、精神的なストレスも大きくかかる問題です。
普段の子育てと並行して、養育費回収の交渉を自力で進めるのは非常に大変だと想像できます。
面倒な養育費回収手続きは、弁護士に一括して任せることで、負担のないスピーディーな解決が可能です。
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