

本記事ではこんな疑問や悩みにお答えしていきます。
両親が離婚した際に支払われる「養育費」ですが、夫婦のどちらかが再婚した場合、支払いはどうなるのでしょうか?
そこで今回は元夫が再婚した場合、元妻が再婚した場合、それぞれ養育費の金額はどうなるのか分かりやすくご紹介していきます。
また本記事では分かりやすく解説するために「夫婦が離婚してシングルマザーが子供を育てているという状況」を想定して解説していきます。
- 元夫からの養育費の支払いがまったく行われない...
- 家計が苦しいから元夫からの減額請求を拒否したい...
といった悩みを抱えている方は必見です!
今回のテーマ
- 養育費とは
- 養育費に影響を与える養子縁組とは
- 再婚したら養育費ってどうなる?【母親が再婚した場合】
- 再婚したら養育費ってどうなる?【元夫が再婚した場合】
- 養育費の減額請求をされた時の対処法
目次
養育費とは
まずは養育費とはどういうものなのか簡単に解説していきます。
養育費とは
養育費とは未成熟子が社会的自立を果たすまで必要とされる費用のことで、生活費や学費、医療費などが該当します。
一般的には離婚した夫婦間で、子供と暮らしていない非監護親から子供と暮らす監護親に支払われます。
よくある間違った認識として「養育費は離婚した相手(元配偶者)に対して支払われる費用」だと捉えている方もいらっしゃいますが、養育費はあくまでも子供に対して支払われるものです。
振込先が自分の口座だからといって私利私欲のために使うようなことがあってはいけません。
養育費は義務?
養育費は民法887条で定められてる扶養義務に基づいて支払われる費用です。
第877条【扶養義務者】
- 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
- 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
- 前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。
ご覧のように血族(血縁関係がある人)には互いに扶養義務があります。
そして両親が離婚したからと言って、夫婦ともに子供に対する扶養義務は無くなりません。
そのため子供に対する扶養義務がある限り、養育費の支払いを拒否することはできないのです。
ですが厚生労働省の調査では「養育費の支払いを受け取っている世帯は全体の2割のみ」という現状があります。これは「養育費は義務であるという事実が知られていない」「元夫が怖くて請求できない」といった問題点によるものだと考えられます。
条件を満たしていれば養育費は必ず受け取ることができます。養育費に関してお困りの方は一度法律の専門家である弁護士に相談することをオススメします。
養育費の金額は変えられる?
シングルマザーの方も、元夫の方も、環境の変化に応じて養育費の金額を変更したい時があるはずです。
では養育費の金額を変更することはできるのでしょうか?
はい。基本的に養育費の金額は変更可能です。
それぞれの家庭環境の変化、仕事環境の変化に応じて、裁判所に判断を委ねることで金額が変更されるのです。
養育費に影響するのは「養子縁組」
上段にて、双方の環境の変化に応じて養育費の金額は変更可能であることをご紹介しました。
この「環境の変化」の内、再婚と最も関係があるのが「養子縁組」です。
養子縁組とは
まず養子縁組とはなんでしょうか?
簡単にご説明すると「再婚の際に血縁関係のない人同士で人為的に親子関係を生じさせること」をいいます。
というのも日本では再婚しただけでは、新しい親と元からいる子供との間に血縁関係が無いので法的な親子関係は生じません。
そこで法的な手続きを踏まえて養子縁組をおこなうことで、正式な親子関係を結び、扶養義務や相続権を生じさせることができるのです。
普通養子縁組と特別養子縁組
また再婚の際の養子縁組には普通養子縁組と特別養子縁組の2種類があります。
- 普通養子縁組
書類を提出するだけの簡単な手続き。新しい親との親子関係が発生すると同時に実の父親との親子関係は残る。 - 特別養子縁組
家庭裁判所に審判申立てを行なう難しめの手続き。新しい親との親子関係が発生し、実の父親との親子関係は無くなる。
見て分かるように、2つの養子縁組の違いは「実の父親との親子関係が残るかどうか」です。
一般的な再婚では普通養子縁組が行われますが、実の父親に問題がある場合は家庭裁判所に認めてもらうことで特別養子縁組を結ぶことができます。
養子縁組が養育費に影響する理由
先程も触れましたように、養育費の支払いは扶養義務の有無で大きく変わってきます。
皆さんも「再婚の際に養子縁組をすれば養育費の支払い義務はなくなる」といった話を聞いたことがあるかもしれませんが、これは半分正解で半分不正解です。
3つのパターンから見てみましょう。
- 養子縁組をしていない
実父との親子関係は残ったままなので養育費の支払い義務は無くならない(減額される可能性はある) - 普通養子縁組をした
実父との親子関係は残ったままなので養育費の支払い義務は無くならない(減額される可能性はある) - 特別養子縁組をした
実父との親子関係は無くなるので養育費の支払い義務は無くなる
つまり養育費を多く受け取りたいシングルマザーは、新しい再婚相手と自分の子供に普通養子縁組を結ばせる、あるいは養子縁組の手続きを行わないのが望ましいと言えるでしょう。
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再婚したら養育費ってどうなる?【母親が再婚した場合】
ではここからは離婚した子持ちの母親が再婚した時の養育費について見ていきましょう。
ここでは4つのパターンに分けて考えていきます。
- 母親の再婚相手が子供と養子縁組を結んでおり、収入が多い
- 母親の再婚相手が子供と養子縁組を結んでおり、収入が少ない
- 母親の再婚相手が子供と養子縁組を結んでおらず、収入が多い
- 母親の再婚相手が子供と養子縁組を結んでおらず、収入が少ない
順番に見ていきましょう。
ケース① 母親の再婚相手が子供と養子縁組を結んでおり、収入が多い
まず養育費の受取人(権利者)である母親の再婚相手が子供と養子縁組を結んだ時点で、一次的な扶養義務は再婚相手に発生します。
そのため実父の扶養義務は二次的になりますので、母親(権利者)が受け取る養育費は減額される可能性が高いです。
そしてこのケースでは再婚相手の収入が多いため、子供の成長に実父の養育費は不要と見なされ、支払い義務が無くなる可能性もあります。
ケース② 母親の再婚相手が子供と養子縁組を結んでおり、収入が少ない
上段でも触れましたように養子縁組によって実父の扶養義務は二次的になりますので、母親(権利者)が受け取る養育費は減額される可能性が高いです。
またこのケースでは再婚相手の収入が少ないので、養育費の支払い義務が無くなる可能性は極めて低いと考えていいでしょう。
ケース③ 母親の再婚相手が子供と養子縁組を結んでおらず、収入が多い
次に養育費の受取人(権利者)である母親の再婚相手が子供と養子縁組を結んでいないということは、子供の扶養義務はすべて実父にあります。
そのため母親(権利者)の再婚相手の収入がどれだけ多かったとしても、減額請求すら通らないと考えていいでしょう。
ケース④ 母親の再婚相手が子供と養子縁組を結んでおらず、収入が少ない
こちらも養育費の受取人(権利者)である母親の再婚相手が子供と養子縁組を結んでいないということは、子供の扶養義務はすべて実父にあります。
減額請求は当然認められることはないでしょう。
条件によっては母親(権利者)から元夫(義務者)に対して増額請求できる可能性もあります。
再婚したら養育費ってどうなる?【元夫が再婚した場合】
続いては離婚した元夫が再婚した時の養育費について見ていきましょう。
こちらに関しても4つのパターンに分けて考えていきます。
- 元夫の再婚相手に子供がいない
- 元夫の再婚相手との間に新しく子供ができた
- 元夫が再婚相手の元からいた子供と養子縁組を結んだ
- 元夫が再婚相手の元からいた子供と養子縁組を結んでいない
順番に見ていきましょう。
*ここでの元夫は養育費を支払う側(義務者)とします
ケース① 元夫の再婚相手に子供がいない
養育費を支払う元夫(義務者)と再婚相手との間に子供がいない場合はどうでしょうか?
この場合実の子供だけでなく再婚相手にも扶養義務が生まれます。(再婚相手の収入が少ない場合)
そのため実の子供に対する養育費を減額請求できる可能性が高いでしょう。
ケース② 元夫の再婚相手との間に新しく子供ができた
養育費を支払う元夫(義務者)と再婚相手との間に新しく子供ができた場合、その子供は血縁関係のある子どもですので扶養義務が生まれます。
元妻との子供だけでなく再婚相手との子供にも扶養義務が生まれるので、養育費の減額請求が通る可能性は高いでしょう。
ケース③ 元夫が再婚相手の元からいた子供と養子縁組を結んだ
養育費を支払う元夫(義務者)が、再婚相手の元からいた子供と養子縁組を結んだ場合、その子供と法的な親子関係が生まれますので扶養義務が発生します。
元妻との子供だけでなく再婚相手の子供にも扶養義務が生まれるので、養育費の減額請求が通る可能性は高いでしょう。
ケース④ 元夫が再婚相手の元からいた子供と養子縁組を結んでいない
養育費を支払う元夫(義務者)が、再婚相手の元からいた子供と養子縁組を結んでいない場合、その子供と法的な親子関係はありませんので扶養義務も生じません。
そのため元夫は元妻との子供にのみ扶養義務がありますので養育費を継続的に支払う義務があります。
ただ元夫の再婚相手の収入が少なかった場合、減額請求が認められる可能性があります。
養育費の減額請求をされた時の対処法
ではもしもシングルマザーであるあなたが元夫から減額請求を受けた場合、どう対処すれば良いのでしょうか?
減額請求は拒否できる
ここで知っておきたいのは必ずしも請求を承諾する必要はないということです。
ですが減額請求を拒否すると、元夫が養育費減額調停を申し込んでくることがあります。
養育費減額調停では調停委員を間に挟んで話し合いを行い、妥当な額を決定します。
その際に
- 母親(権利者)の生活が経済的に苦しい
- 母親(権利者)の再婚相手の収入が少ない
- 子供の学費が増えてきた
- 元夫(義務者)の収入が多い
- 元夫(義務者)の再婚相手の収入が多い
といった条件に該当していると、減額請求の拒否が認められる可能性が高いです。
養育費減額調停でも双方が納得しない場合は、裁判所の審判に判断を仰ぐことができます。
手続きが面倒な時は弁護士へ
とはいえ調停での話し合いが面倒だったり、元夫と顔を合わせたくない、といった方もいらっしゃることでしょう。
そんな時は弁護士に依頼すればすべての手続を代行してもらうことができます。
弁護士費用が気になる方も心配いりません!
最近の弁護士は相談料や着手金を0円とする、リーズナブルな事務所も増えてきています。
「元夫からの減額請求を拒否したい」「養育費の増額請求をしたい」「養育費の差し押さえをしたい」といった悩みを抱えた方はぜひ一度弁護士に相談してみましょう。
まとめ:再婚したら養育費ってどうなる?【養子縁組が重要なポイントです】
- 養育費とは未成熟子が社会的自立を果たすまで必要とされる費用のことで、生活費や学費、医療費などが該当する
- 離婚しても再婚しても血縁関係がある限り養育費の支払いは義務である
- 養育費は条件に応じて額の変更ができる
- 再婚した母親が受け取ることができる養育費は再婚相手の収入・養子縁組の有無で変わる
- 再婚した元夫が支払う養育費は子供の有無・再婚相手の収入・養子縁組の有無で変わる
- 元夫からの養育費の減額請求を拒否したい時は調停委員や裁判所に関与してもらう
- 減額請求のやり取りが面倒な方は弁護士に相談するのがオススメ!
今回は離婚した母親あるいは父親が再婚した時に養育費の額はどう変わるかを説明しました。
再婚するのが母親か父親かで判断材料は変わりますが、養子縁組の有無は大きく関係しているということを覚えておきましょう。
- 養育費を多く受け取りたい母親は、子供が成人するまでは養子縁組を結ばせずに減額されない養育費を受け取り続け、子供が成人して受け取りが終わったら、再婚相手と子供に養子縁組を結ばせるのが一番効率的です。
- 逆に養育費を支払いたくない父親は、収入の少ない子持ちの母親と再婚して、さらに新しい子供を作った後に元妻に養育費の減額請求を行なうのが一番効率的です
もしも減額請求のやりとり、調停委員との手続きが面倒な方は、法律の専門家である弁護士に依頼すれば全てのやりとりを代行してもらうことができます。
最近の弁護士事務所では相談料や着手金を無料としているところもあります。
まずは無料相談で予算について話し合うのも良いかもしれません。
シン・イストワール法律事務所は、これまで数多くの養育費回収トラブルを解決に導いてきました。
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