「養育費を請求するには父親と子供の面会交流が必要って本当?」
「面会交流をしないと養育費を回収できないって本当?」
今回はこういった疑問を解決していきます。
両親が離婚する際に元配偶者から支払われる養育費ですが、元配偶者と子供の面会交流が条件となることはあり得るのでしょうか?

そこで今回は養育費と面会交流の関係や面会交流のメリット・デメリットなどについて弁護士が詳しく解説していきます。
不払いや未払いなど養育費回収で悩んでいる方は必見です!
今回のテーマ
- 養育費とは
- 面会交流とは
- 面会交流していなくても養育費の受け取りや請求は可能
- 新型コロナウィルス感染症が怖くて面会交流できない時は?
- まとめ:養育費の受け取りに面会交流は必要?【弁護士が徹底解説します】
目次
養育費とは
では養育費と面会交流の関係について考える前にまずは養育費の意味について詳しく知っておきましょう。
養育費とは
養育費とは未成熟子が社会的自立を果たすまで必要とされる費用のことで、生活費や学費、医療費などが該当します。
一般的には離婚した夫婦間で、子供と暮らしていない非監護親から子供と暮らす監護親に支払われます。
よくある間違った認識として「養育費は離婚した相手(元配偶者)に対して支払われる費用」だと捉えている方もいらっしゃいますが、養育費はあくまでも子供に対して支払われるものです。

養育費は義務
養育費は民法887条で定められてる扶養義務に基づいて支払われる費用です。
第877条【扶養義務者】
- 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
- 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
- 前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。
ご覧のように血族(血縁関係がある人)には互いに扶養義務があります。
そして両親が離婚したからと言って、夫婦ともに子供に対する扶養義務は無くなりません。
そのため子供に対する扶養義務がある限り、養育費の支払いを拒否することはできないのです。
厚生労働省の調査では「養育費の支払いを受け取っている世帯は全体の2割のみ」となっています。これは「養育費は義務であるという事実が知られていない」「元夫が怖くて請求できない」といった問題点によるものだと考えられます。
夫からの反感や復讐に怯える必要はありません。条件を満たしていれば養育費は必ず受け取ることができます。養育費に関してお困りの方は一度法律の専門家である弁護士に相談することをオススメします。
養育費の金額は変えられる
シングルマザーの方も、元夫の方も、環境の変化に応じて養育費の金額を変更したい時があるはずです。
では養育費の金額を変更することはできるのでしょうか?

それぞれの家庭環境の変化、仕事環境の変化に応じて、裁判所に判断を委ねることで金額が変更されるのです。
具体的には以下の項目を考慮した上で変更されるのが一般的です。
- 義務者の収入の変化
- 権利者の収入の変化
- 子供の年齢や人数の変化
- 義務者の再婚による環境の変化
- 権利者の再婚による環境の変化
養育費について詳しく知りたい方はこちらの記事がオススメです。
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面会交流とは
続いては面会交流について見ていきましょう。
面会交流とは
皆さんもなんとなく想像がつくように、面会交流とは子供と離れて暮らしている親と子供が交流(会って話したり、一緒に遊んだり、電話や手紙で交信したり)できる権利のことを言います。
面会交流は民法766条で認められた法的な権利です。
民法第766条
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。

子供と離れて暮らす元配偶者(非監護親)のための権利ではなく、子供の利益を追求するための権利だと言えるでしょう。
そのためどんなに離婚した夫婦の仲が悪かったとしても、子供が面会交流を望む限りそれを拒否することはできないのです。
一方で子供と離れて暮らす元配偶者(非監護親)が面会交流を求めてきたとしても、子供がそれを望まなかったら拒否することができます。
子供と一緒に暮らす監護親は面会交流の是非を感情に任せて決めてはいけません。子供の体調や気持ち、生活リズムやスケジュールを考えながら面会交流が子供にとって適切かどうかを考えることが大切です。
面会交流のメリット・デメリット
面会交流のメリットとデメリットについても知っておきましょう。
面会交流のメリット
- 子供の幸福につながる
- 親子の絆が深まる
- 元配偶者が養育費を支払うモチベーションにつながる
まず最も大きなメリットは子供も親も幸せな気持ちになれることです。
子供にとって親は世界で2人しかいない大切な存在です。

また世の中には定期的な面会交流を開催しなかったために子供への関心や興味が薄れ、養育費を支払わなくなる非監護親がたくさんいます。
養育費の受け取りは扶養義務に基づいた正当な権利です。
養育費の未払い・不払いを防ぐためにも、定期的に面会交流を実施して非監護親が養育費を支払うモチベーションを上げさせることも大切です。

面会交流のデメリット
- 子供が嫌な思いをする可能性がある
- 元配偶者と話し合いによる取り決めが必要
- 元配偶者と話がまとまらないときは家庭裁判所の調停や審判の手続きが必要
子供が非監護親に対してネガティブな感情を抱いている場合、面会交流が子供の利益や幸福に繋がらないケースがあります。

また元夫婦間で面会交流など養育費に関する合意が取れない時は家庭裁判所に養育費調停や審判を申し立てる必要があります。
申し立て手続きには書類作成など面倒な作業が多いためデメリットと言えるかもしれません。
また調停や審判の結果が出ても、元配偶者が取り決めを守らない場合は強制執行手続きによって養育費分の資産を差し押さえることができます。強制執行の場合も必要な書類がいくつかあるので自分で用意しなくてはなりません。
もしも書類作成が面倒な場合は法律の専門家である弁護士に相談すれば、養育費回収に必要なすべての作業を丸投げできるのでおすすめです。
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面会交流の取り決め
法務省の公式ホームページには面会交流について以下のように記載されています。
Q3 面会交流の取り決めはどのようにしたらよいのですか。
(A)
まずは,しっかりと父母で話し合いましょう。
取り決めをする際には,面会交流がスムーズに行われるように,面会交流の内容,頻度などを決めておくとよいでしょう。また,取り決めた内容については,後日,紛争が生じないように,口約束ではなく,書面に残しておくとよいでしょう。その際には,このパンフレットに掲載されている「子どもの養育に関する合意書」 を参考にしてください。
基本的に面会交流は1回だけでは効果を期待できません。
頻度を決めて定期的に面会することで、親子間の信頼関係を深めるのはもちろん、非監護親の養育費の支払いモチベーションを維持することができるのです。
また相手が取り決めを守らなくなった時のために、面会について取り決めた内容を記載した書類を用意して証拠として保管しておくのもオススメです。

【おまけ】新型コロナウィルス感染症が怖くて面会交流できない時は
昨今では新型コロナウィルス感染症のリスクがあり、自由に面会交流できない方も多くいらっしゃることでしょう。
こういった場合でも子供の福祉の観点から柔軟に対応していく姿勢が大切になってきます。
- ビデオ通話やオンライン通話で代替的な面会交流をおこなう
- 万全な感染対策をした上で面会交流をおこなう
- 人通りの少ない場所、感染リスクの少ない場所で面会交流をおこなう
いくら新型コロナウィルス感染症のリスクがあるとはいえ、子供の意思を無視して面会交流の機会を無くすなんてことはあってはいけません。
元夫婦間でよく話し合い柔軟な対応策を吟味していきましょう。

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面会交流していなくても養育費の請求は可能
面会交流は子供の幸福や利益を追求するための「権利」ですが、養育費の支払いは扶養義務に基づいた「義務」です。
よって「面会交流をしない場合は養育費の請求はできない」「養育費を支払わないと面会交流できない」といった解釈は間違っています。
家庭裁判所での養育費調停や審判で上記のような主張をする人もいますが、基本的に認められることはありませんので注意しましょう。
「面会交流をしていなくても養育費の請求は可能」ですし「面会交流していないからといって養育費の支払いを拒否することはできない」といった解釈が正しいのです。
まとめ:養育費の請求に面会交流は必要?【弁護士が徹底解説します】
まとめ
- 養育費とは未成熟子が社会的自立を果たすまで必要とされる費用のことで、生活費や学費、医療費などが該当する
- 面会交流とは子供と離れて暮らしている親と子供が交流(会って話したり、一緒に遊んだり、電話や手紙で交信したり)できる権利のこと
- 面会交流していなくても養育費の受け取りや請求は可能
- 面会交流など養育費に関する取り決めを相手が守らなかった場合、家庭裁判所に養育費調停や審判を申し立てできる
- 養育費調停や審判で確定した内容も守らなかった場合は強制執行手続きによって養育費分の資産を差し押さえできる
- 養育費調停や審判、強制執行の手続きが面倒な人は弁護士に相談することですべての作業を丸投げできる
今回は養育費と面会交流の関係や面会交流のメリット・デメリットについてご紹介しました。
本文でも説明しましたが面会交流が実施されていなくても養育費の請求は可能です。
また離婚後に面会交流など養育費関連のトラブルで揉めないためにも、合意した取り決めを文書として残しておくことをオススメします。
というのも、この文書は養育費調停や審判、強制執行の手続きの際に証拠として扱われるので、非常に有利に働きます。
とはいえこうした手続きには他にも様々な書類を必要とするため準備だけでも時間や労力がかかってしまいます。

他にも「養育費の未払い問題」「減額請求への対応」といった養育費に関するトラブルがあった場合は、弁護士に相談してスムーズに問題を解決することをオススメします。
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