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【未払いを泣き寝入りしないで!】養育費を確実に払わせる4つの方法

更新日:

  • 本記事の監修弁護士
弁護士 田島 聡泰 シン・イストワール法律事務所

監修者

弁護士 田島 聡泰

シン・イストワール法律事務所代表弁護士。東京弁護士会所属。
注力分野:債務整理(自己破産・過払い金・闇金・ファクタリング)・養育費回収など

離婚してから時間が経つけど、養育費が未払い状態…払わせる方法は?
元夫が養育費請求に応じてくれない。泣き寝入りするしかないのかな?

今回は、このようなお悩みを解決していきます!

親の子に対する扶養義務に基づいて支払われなければならない養育費ですが、実際に未払いに悩んでいる方は少なくありません。

平成28年の厚生労働省の調査によると、全母子家庭のうち、

・養育費を継続的に受給している家庭…およそ20%
・過去に受けたことがある家庭…およそ20%
・一度も受け取ったことがない家庭…およそ60%

と分かっています。

参考:厚生労働省「養育費について」

養育費は子供の成長に欠かせない費用ですので、何としても確保したいものです。

本記事では、元配偶者に養育費を確実に支払わせる4つの方法についてシン・イストワール法律事務所の弁護士が徹底解説していきます。

養育費回収でお困りの方、何から手を付ければ良いのか分からない方は、弁護士と一緒に解決していきましょう。

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未払い養育費を払わせる方法① 公正証書を作成する

養育費を確実に支払わせる方法として、まず有効なのが公正証書の作成です。

「取り決めをしたけど、口約束のまま」
「法的な措置での養育費回収を考えている」

このような方は、公正証書を作成するところから始めましょう。

公正証書とは?

公正証書とは、協議離婚の際に養育費などの取り決めをして、内容をまとめた債務名義のことです。「離婚公正証書」とも呼ばれます。

離婚公正証書に「養育費が支払われない場合は強制執行が可能」と執行受託文言がついているとベストで、多くの場合で養育費回収が順調に進むでしょう。

離婚公正証書の他にも、債務名義として法的な効力を持つ債務名義には以下のような種類があります。

《名称》《内容》
離婚公正証書夫婦で合意した離婚内容をまとめたもの。
調停調書離婚時に養育費の取り決めについて、当事者間では話し合いが不可能な場合、家庭裁判所による調停で解決するのが一般的。調停で決着がついたときに作成されるもの。
審判書調停で解決しない場合、裁判所で裁判官が両者の言い分を聞き、審判を下す。最終的な審判の内容が書かれたもの。
和解調書裁判において、裁判所が提示した和解内容で決着をつけた場合に、その内容がまとめられたもの。
判決書和解とならずに、裁判官の判決によって話をまとめた際に残されるもの。
養育費の増額が決まったら、「公正証書」を必ず作成しよう
参考養育費を決める時に公正証書を作ったほうが良い理由【弁護士が徹底解説】

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公正証書を作成するメリット

様々な種類がある公正証書ですが、多少の手間がかかっても作成しておきたいメリットがあります。

公正証書を作成するメリット

  1. 公正証書は公的な文書なので証拠能力が高い
  2. 養育費の取り決めた文書として法的な効力がある
  3. 公正証書があれば強制執行が可能

公正証書は公正役場にて公証人の立会いのもと作成される公的な書類です。

養育費の取り決め内容が公正証書によって正式に認められるため、万が一支払いが滞っても強制執行などの法的効力が強い措置で養育費を回収できます。

公的な書類であることから、公正証書に記載された内容は証拠として機能するため、仮に裁判になったとしても、有利な判断材料となるでしょう。

「養育費は2人で納得して決めて、内容もメールに残っているから大丈夫」と安心される方がいらっしゃいますが、非常に危険です。
メールや電話の履歴は証拠としての能力が低く、当時は2人で納得した内容でも時間が経つと認められくなるリスクがあります。

このように、公正証書は法的な債務名義として強力な機能を持つというメリットがあります。

公正証書があるだけで、養育費を払わせるための選択肢が増えますので、まずは公正証書の作成からスタートしましょう。
参考養育費は公正証書が無くても請求できるって本当?【弁護士が詳しく解説】

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公正証書を作成する手順

公正証書を作成する場合は、まず養育費の取り決め内容の話し合いから始めましょう。

「すでに話し合ったことがある」という方も、以下の5ポイントを中心に話し合い、改めて合意をとることをおすすめします。

  1. 養育費の金額
  2. 支払いはいつまでするのか
  3. 支払い方法どうするのか
  4. 不払いだった時の執行受諾文言
  5. 双方の環境が変わった時の再協議について

ここまで話し合いがまとまったら、公正役場に行って公正証書を作成します。

ただし、公証役場には当事者双方がそろって同席する必要がある点に注意してください。多くの公証役場の営業時間は平日9:00~17:00のみになります。

公正証書の作成には、顔写真付き身分証明書や実印、手数料などが必要です。

詳しくは日本公証人連合会のホームページを確認しましょう。

当事者同士での話し合いが不可能という場合は、養育費請求調停を申立てて「調停調書」という債務名義を作成することも可能です。

養育費請求調停で話がまとまらない場合、自動的に審判手続きへと切り替わり、養育費に関する取り決めをします。

養育費について話合いがまとまらない場合や話合いができない場合には、子を監護している親から他方の親に対して、家庭裁判所に調停又は審判の申立てをして、養育費の支払を求めることができます。

調停手続では、養育費がどのくらいかかっているのか、申立人及び相手方の収入がどのくらいあるかなど一切の事情について、当事者双方から事情を聴いたり、必要に応じて資料等を提出してもらうなどして事情をよく把握して、解決案を提示したり、解決のために必要な助言をし、合意を目指し話合いが進められます。

なお、話合いがまとまらず調停が不成立になった場合には自動的に審判手続が開始され、裁判官が、一切の事情を考慮して、審判をすることになります。

引用:裁判所「養育費請求調停」

離婚したほどの相手とは顔も合わせたくないという場合は、早い段階から弁護士に相談しましょう。

書類準備や裁判所・元配偶者とのやり取りなど、面倒な作業はすべて弁護士が代行いたします。

公正証書を作成する手順は各ご家庭によって様々です。弁護士に相談することで、あなたに合ったスピーディーなプランで受け取れます。

未払い養育費を払わせる方法② 内容証明郵便で督促する

養育費を支払わせる方法として、内容証明郵便での督促もおすすめです。

「元配偶者が支払督促の電話・メールを拒否する」
「こちらが真剣に言っても真面目に応じてくれない」

こんなお悩みをお持ちの方は、内容証明郵便での督促がおすすめです。

内容証明郵便とは

内容証明郵便」とは、郵便の内容や発送日、相手が受け取った日付などの情報を郵便局が正式に証明するサービスです。

一般書留郵便物の内容文書について証明するサービスです。

いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって当社が証明する制度です。

引用:郵便局「内容証明」

元配偶者が話し合いの応じないなど自主交渉が不可能な場合に、内容証明郵便を利用すると、効果的にプレッシャーをかけられると期待できます。

また、内容証明郵便では文書の内容が証明されるため、後日訴訟などを行う際に意思表示の日付や内容等を立証する手段として役立つでしょう。

電話やメールよりも、正式な証拠として有利に機能します。

これまで電話やメールで督促していた方には内容証明郵便がおすすめです。プレッシャーをかけるだけでなく、証拠として有利に働く期待ができます。

内容証明郵便には法的効力が無い

ここまで内容証明郵便のメリットをご説明しましたが、法的効力が無いという点にも注意しましょう。

つまり、内容証明郵便で送った内容を相手に強制することはできません。

内容証明郵便は、あくまでもプレッシャーをかける効果と「養育費の督促をした」という事実の証明が期待できるという制度だと覚えておきましょう。
行方不明の相手から養育費の請求ってできるの?
参考養育費を行方不明の相手から請求することってできるの?

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未払い養育費を払わせる方法③ 家庭裁判所の履行勧告・履行命令で督促する

養育費を支払わせる方法として、家庭裁判所の履行勧告・履行命令による督促もおすすめです。

履行勧告・履行命令とは

養育費の取り決めを守らない人に対して、家庭裁判所が取り決めを守るように説得したり、勧告したりする仕組みのことです。

履行勧告・履行命令は、家庭裁判所で決めた調停や審判などの取り決めが対象となります。

家庭裁判所に対して履行勧告の申し出をすると勧告が発出され、手続きには手数料などの費用はかかりません。

履行勧告・履行命令のメリットと注意点

履行勧告・履行命令には、あなたが直接元配偶者へ督促をするよりも、精神的プレッシャーをかける効果が期待できます。

「元配偶者が電話やメールの督促に応じない」
「内容証明郵便を送っても効果が無かった」
このようにお悩みの方は、内容証明郵便がおすすめです。

家庭裁判所から督促されることで、あなたの本気度が伝わり、元配偶者が態度を改めるかもしれません。

しかし、履行勧告・履行命令には法的強制力がない点には注意が必要です。

元配偶者が履行勧告・履行命令を受け取ってからも養育費の支払いを拒否した場合、さらに強い手段での交渉をお勧めします。

元配偶者が履行勧告・履行命令を受けても養育費の支払いに応じない場合は、諦めて次の手段に移りましょう。

未払い養育費を払わせる方法④ 強制執行で回収する

公正証書を作成し、内容証明郵便を試し、履行勧告・履行命令をしても効果が無いという場合は、強制執行の手続きに移りましょう。

強制執行は、法的拘束力が強く、実行には条件があるので注意が必要です。

強制執行の条件

  1. 相手の現住所を把握している
  2. 相手の資産状況を把握している
  3. 債務名義を持っている

条件の1つ目「相手の現住所を把握している」ですが、強制執行をする際には相手の住所を把握しておく必要があります。

なぜなら、強制執行が開始した際に、裁判所が発布する「差押命令」を元配偶者へ送付する必要があるからです。

差押命令が元配偶者に届かない状態での強制執行は認められません。

元配偶者の連絡先を知っていても、現住所までは知らないというからも心配不要です。

養育費回収に強い弁護士に相談すれば、「弁護士会照会制度」で簡単に元配偶者の住所を特定することが出来ます。

弁護士会照会制度とは、必要書類や資料などの情報を、公的機関や一般企業に対して開示要求できる制度のことです。

条件の2つ目「相手の資産状況を把握している」についてですが、養育費回収の計画のために重要です。

せっかく養育費回収を開始しても相手に財産が全くなかったという事態を避けるために、相手の資産状況を弁護士と一緒に確認しておきましょう。

具体的には、以下の財産について知っておくと良いでしょう。

  • 不動産
  • 自動車
  • 給料
  • 預貯金
  • 家財道具
  • 建物明け渡し

条件の3つ目「債務名義を持っている」ですが、強制執行を始めるには欠かせませんので、お持ちでない方は作成するところから始めましょう。

「書類収集が面倒」「相手と顔を合わせたくない」という方は、弁護士への相談がおすすめです。

一括して弁護士に任せることで、ストレスなくスピーディーに受け取れるというメリットがあります。
参考子どもが4人以上の養育費はどう計算するの?【具体的な数字を用いてご紹介】

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強制執行の流れ

ここまで強制執行の条件を満たしたら、手続きを開始しましょう。

大まかに以下の流れですが、ステップ1「強制執行申立に必要な書類を用意」が最も難しく感じるかもしれません。

  1. 強制執行申立に必要な書類を用意
  2. 元配偶者の居住地域の地方裁判所に申立を行う
  3. 差し押さえ申立が成立する
  4. 取り立てを行う
  5. 回収後に取り立て届けを裁判所に提出

強制執行の申立てには、以下の書類が必要です。

《名称》《特徴》
債務名義調停調書や和解調書など。公的機関が個人に対して養育費を受け取る権利があることを認めた書類。
速達証明書元配偶者(養育費の債務者)の元に執行認諾文言付きの公正証書が送達されたことを証明する公的な書類。
資格証明書元配偶者(養育費の債務者)が法人の場合に必要。企業情報が商業登記簿に登記されていると証明する公的な書類。
当事者の住所などを記載した当事者目録債務者と債権者の氏名や住所を記載する書類。戸籍謄本、住民票、商業登記事項証明書等の公文書でその同一性を証明できる。
当事者の住民票や戸籍謄本債務者と債権者の住民票や戸籍謄本。役所から取り寄せることが可能。
請求債権目録請求する養育費の合計金額や期限、今後の養育費の金額や毎月の支払い額を記載する書類。
裁判所のホームページからテンプレートをダウンロード可能。
差押債権目録債権者の勤務先屋条件ごとの支払い額、未払い合計額などを記載する書類。
裁判所のホームページからテンプレートをダウンロード可能。

基本的にご自身で用意できますが、日々の育児や仕事と両立しながら、書類をミスなく集めることは簡単ではありません。

一括して弁護士に代行させることで、申し立てに関するストレスや時間の負担を軽減できます。

何から始めれば良いか不明な方、1人でやりきる自身の無い方は、早い段階で弁護士へ相談しましょう。
参考養育費の強制執行を元配偶者の会社が拒否したら?対処方法を弁護士が徹底解説!

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まとめ:【未払いを泣き寝入りしないで!】養育費を確実に払わせる4つの方法

ポイント

  • 養育費を確実に回収するには、まず公正証書の作成から始める
  • 元配偶者が支払いに応じない時は、内容証明郵便で督促する
  • 内容証明郵便で効果が無かった場合、家庭裁判所による履行勧告・履行命令が有効
  • 強制執行による養育費回収は、法的効力が強く、確実性が高い

今回は、元配偶者に養育費を確実に支払わせる4つの方法についてシン・イストワール法律事務所の弁護士が徹底解説していきます。

養育費回収でお悩みの方は、私たちシン・イストワール法律事務所へご相談下さい。

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